ブッ壊れたシャワーヘッド

好きなものを、不規則に撒き散らすだけ

この1年ちょいの間の現場総まとめ

Twitterをフォローいただいている方はご存じだと思いますが、現在転勤で短い間アメリカに来ています。あんまり詳しく書いて特定されるのはご勘弁なので時期や場所はふんわりさせてもらいますね。こんなへっぽこがアメリカに飛ばされるなんて人生なにがあるかわからないよね!しかもコロ助流行真っ最中でいろいろ今までと勝手が違うからYO!

ここにいる間に最推しのV6が解散したり、かと思えばトニセン、健ちゃん、オカダのファンクラブがオープンしたり、コロ助で中止になったForever PlaidThe Boy from OZがようやく幕開けになったり、トニセン、坂本くん、長野くんそれぞれの冠番組が始まったり、後輩グループのTravis Japanアメリカに来たり、フェアリーズの理香子がまさかのジャンルでデビューしてたり*1…さすがに現場は行けないけど、ネットの恩恵を受けて番組はリアルタイムで追っかけられるから、もちろん解散ライブとOZとフォエプラ行けなかったのはすんごくすんごく悔しかったけど!だからといってそこまで疎外感を感じる1年ちょっとというわけではなかったかな。しかも最近トニセンも健ちゃんもTwitter始めたもんね。ITすぎょい。ありがてえ。*2おじさんたちがきゃっきゃっしていることで救われる命があります。ありがとうございます。

 

ただわたくし、根っからの現場厨でして。そもそも今回の転勤はかなりの激務+慣れない初海外転勤+職場の人間関係がちょっとアレということで、物理的にも精神的にもボロボロで自然とSNSへの浮上率も低くなりましたが、ご安心を。自分なりにこっちの現場を楽しんでいましたよ。せっかく本場のブロードウェイがあるんだからそりゃ見なきゃ。ということで謎タイミングですがここ1年ちょいで見てきた各種舞台作品の総まとめを勝手にやりたいと思います。お時間ありましたら是非お立ち寄りください。

 

 

 

 

 

 

時系列ぼやかすために観劇順ではなく作品名のアルファベット順でお届けします。

あとイベント型コンサートや小劇場系は省きました。結局全部ストレートプレイじゃなくてミュージカルだけど、改めてめっちゃ見たな。円安しんどい。

 

①Book of Mormon

コメディ。2人1セットで世界各国に派遣されて布教活動を行うモルモン教の宣教師の若い男の子二人が、なぜかウガンダに飛ばされて布教する羽目に。発展途上国で正直生活も劣悪だし、男の子も一人は超がつくほどまじめだけどもう一人は教えられたことの復唱すらろくにできない中で、「信仰とはなにか」という宗教の根本的な問いかけをされるような出来事に出くわしながら現地の人々と交流を深めていく。という初演の時は大絶賛されながらも特に信者界隈では結構バッシングも食らった問題作。(でも作品内はモルモン教を揶揄こそすれど、存在そのものを否定することはしていないのでのちに和解、むしろ信者らにも受け入れられたそうな)製作陣にはサウスパークを制作したトレイ・パーカーとマット・ストーンや、アナ雪のレリゴーを作曲したロバート・ロペスらが入ってるんだから、完成度は約束されたようなもので。2011年のトニー賞で3部門入賞した名作。

聖書の内容が覚えられなくてスターウォーズやらETやら映画の名作から自分の実体験まで織り交ぜた作り話で適当に布教しつつも、その明るさで相方や地元の人々に受け入れられていくElder Cunningham役の演技が素晴らしかった。トニー賞のパフォーマンスだけで惚れてサントラアルバムを購入したくらいには好きな作品だったのでようやく見れてよかった。

 

②Dear Evan Hansen

ドラマ。2021年には映画版も公開された作品ですね。映画版はキャストが全然高校生に見えないということで酷評されがちでしたが、舞台は本当に本当におすすめ。

社交不安障害、すなわちコミュ障を抱える高校生のエヴァンハンセンは木から飛び降り自分の人生を終えようと思うも失敗し左腕を骨折。ギブスを付けて通学するもギブスにサインしてくれるような友達もおらずにいると、ほぼ接点がないコナーにサインされ、そしてセラピーとして日記替わりに書いている自分あての励ましメールを読まれ奪われる。取り返せずにいるとコナーが自殺したことをコナーの両親から告げられ、彼らがそのメールを息子の遺書と思い、エヴァンが息子の唯一の友人だと勘違いする。その勘違いを優しさから否定できず、息子を失った両親と娘(コナーの妹)を思ってついた小さな嘘がやがて学校や社会を巻き込む大きなものになってしまい、エヴァンは嘘を抱えながらもちょっとずつコナーの妹でずっと片思いしていたゾーイと心を通わせていく、という現代のネット社会を反映した今ならではの作品。

もうね、泣いたよね。世間的にだいぶ有名になった「You will be found」はもちろん感動的だけど、この時まだエヴァンは世界に嘘をついている状態だからあまり感情移入ができなくて、実は泣いたのは最後エヴァンが嘘を打ち明けた時のお母さんの歌う「so big, so small」。片親としてこれ以上息子が悲しまないように、なるべくそばにいてあげられるように頑張って、でも家計を支えないといけないので仕事で不在にしがちだったことへの後悔をうたったこの曲がなんだかすごく刺さってね。産んでないけどお母さんの気持ちとシンクロしてぴーぴー泣いてしまった。年だね。

今回はSNSでのつながりと現実世界の人と人の疎遠がテーマの一つでもあって、舞台にはずっとTwitterInstagram、FBなどSNSのような画面にいろんなコメントが流れていくモニターが映し出されていたのが印象的。あんなにたくさんの人がインタラクトしている中でエヴァンが叫ぶように歌う「Waving Through the Window」(ガラス越しに手を振るけど何人がそれを見て応えてくれるのだろう的な内容)にとても胸を打たれました。金さえあればもっかいくらいリピートしたかった一作。あとWaving Through the Windowは私が最後に見た三浦春馬くんの現場で彼が「いつかやりたい役」ということでこの曲を披露していたのも思い出してすこししんみりしたり。

 

③Everybody's Talking About Jamie

ドラマ。これも去年アマプラ@米国で実写映画化されたけど、とてもかわいい作品でした。日本では森崎ウィンくんがダブルキャストで昨年に演じてたね。あとめいめいが親友役だった。

高校生のジェイミーはドラァグクイーンに憧れ、プロムでドラァグクイーンデビューをしたいと準備をするけど、クラスの友達や保守的な先生は大反対。さらにお母さんは傷つけたくなくてずっと隠していましたが、離婚した父が家を離れた理由の一つは自分の息子が「男らしくない」から。それをふとしたきっかけで知ってしまったジェイミーは果たしてプロムでドラァグクイーンデビューできるのか。という話。

UK発のミュージカルらしく、とてもパワフルでポップで明るい一作。どんな悲しい出来事も跳ね返すジェイミーの明るさや、息子に理解を示してくれる母の優しさ、唯一最初からジェイミーをサポートしてくれた親友のプリティの可愛らしさ、そしてドラァグクイーンとしての生き方を教えてくれた元ドラァグのロコ・シャネルの艶やかさ。ロック調のナンバーもノリノリにさせてくれてとても楽しい作品でした。

個人的には観客が結構独り言でセリフと会話してたのが印象的だったなぁ。ここはお前ん家のリビングか。あとロコ・シャネル役で出ていた人がUSドラァグレースの出演者だったらしくて、一緒に行ってくれた友人が大興奮してた。

 

④Hamilton

伝記系。初演の時はあまりの人気にチケットがプレミア化したらしいけど、今回はパンデミックってのもあったのか、チケットも取りやすくて良かった。リン=マニュエル・ミランダ製作とあってプエルトリコなど有色人種の皆さんが豊富にキャスティングされていたり、全編ラップ構成だったりと異色な一作。最近はディズニー+で初演版の収録映像が見れるよね。

ただでさえ英語で聞き取りが大変なのに、全編ラップなもんだから事前予習してないとちょっと追いつくのが難しかったけど、カリブ海で生まれたアレクサンダー・ハミルトンがいかにヨークシャーの戦いを勝利し、ワシントン大統領の右腕として財務長官に任命され、アメリカの憲法草稿を書き上げたか、そして最後はなぜ失脚し、副大統領のアーロン・バーとの決闘で命を落としたかをドラマティックに描いた作品。

リン=マニュエル・ミランダの書いた歌詞って説明的なのが個人的な好みには合わないんだけど、やっぱあの膨大な情報をうまくラップに落とし込んで、それがダサくならずに、かつ18世紀、19世紀という時代を背景にしても浮かないのがすごい。あと総勢20人くらいで歌うThe World Turned Upside Downは圧巻だったなぁ。みんなジョージ3世大好きだったのが笑った。私もジョージ3世大好き。ずっと緊張感がある作品で唯一癒してくれる存在よね。性格くそ野郎だけど。

 

Harry Potter and the Cursed Child

祝・日本初演*3

これだけ場所をネタバレしますとサンフランシスコで見ました。というのも、NYでやっているバージョンと、特にコロ助を経て少し上演時間を工夫したサンフランシスコのバージョンでは、同じJKローリングが書いているけど結末がすこーしだけ異なるらしい。知らんけど。少しネタバレになるとサンフランシスコのほうがもっとスコーピウスとセブルスの関係性が「意味深」になってるとのこと。昨今ローリング女史はLGBTQ界隈でいろいろたたかれているので、この結末に関してもマイノリティ搾取では?とか、take advantage of LGBTQでは?とかいろいろ言われているみたいですが、個人的には普通にBLの文脈で萌えましたので好きでした。

なにを語ってもネタバレになってしまうので控えますが、とにもかくにも舞台装置がすごい!今までwickedが自分の中で一番だったけどこれで塗り替えられたかも。魔法を表すいろいろな光のトリックはもちろん、デスイーターの出し方や魔法学校対抗戦のシーンとか、とっても豪華。チケ代が高くつくのもこれは納得といったところ。

いかんせん一冊の本をぎゅぎゅっと詰め込んでるので、展開はかなり早いです。私はハリポタ全部小説と映画で履修済みですが、わざわざこの舞台のために見直したりはしていないので、結構記憶もあやふやで、登場人物の名前を思い出している間にするりと話が進んじゃった感じがなくもないですが、舞台装置の豪華さも相まって全然飽きがこないし、もちろんストーリーも面白い。親の愛情を知らないハリーがまぁまぁくそ親になってるのも結構リアル。逆に両親から愛情をいっぱい受けているマルフォイが愛情深い夫と父になっているのも良いよね。BORUTOとか好きな人なら絶対好きだと思う。知らんけど。見た後はたぶんみんなスコーピウス好きになると思う。

 

⑥Kinky Boots

これまた日本にいた時からずっとみたい作品だったので、今回見られて本当に良かった!しかもイギリスからのキャスト。今年日本でも城田優くんにキャストが変わって再演するよね。

父から受け継いだ倒産しかけの靴屋の一念発起を狙って、ふとしたきっかけで出会ったドラァグクイーンのローラにデザインを依頼し、ドラァグ用のハイヒールブーツを製造したチャーリー。お互いトラウマや生活の困難を乗り越えながら友情をはぐくみ、無事新しいニッチなビジネスで大成功を収めていくというサクセスストーリー。

とにかく元気がもらえた!ローラのどんな苦境もはねのける根っからの明るさは本当に素敵だし、シンディーローパーが作ったロック調のナンバーはどれも耳障りがよくてすぐ覚えられるものばかり。日本ではソニンちゃんが演じていたチャーリーに恋する工場従業員のローレン役を今回アジア系のキャストがやっていたのもなんかよかったな。意地悪なことを言う人はいても、根っからの悪い人、悪者がいない作品はやっぱり見終わった後の爽快感が心地よい。あと舞台がいわゆる野外舞台だったのも良かったなぁ。野外舞台でミュージカルやるのって勇気いるよね。

 

⑦Little Shop of Horrors

日本版ではデーモン閣下がオードリー2役をやったことでも話題になったホラーコメディー。小屋が小さかったので、少し後ろ目の席をケチって取ったけどそれでもめっちゃステージが近くてびっくり。ホームレス/オードリーの歯医者の彼氏役でChristian Borle(Something RottenとかCharlie and the Chocolate Factoryとかで主演してるベテラン)が出ているという豪華っぷり。というか裏でChristianの元奥さんがヒュージャックマンの相手役でMusic Manに出てるなんてね。

ホラーって言っても私みたいなチキンでも見れるマイルドなもので、貧乏人の町で売れない植物屋に勤めるさえない男の子シーモアは、ある日怪しいお店で変な植物を買って、自分が密かに片思いしている店員オードリーの名前からオードリー2という名前を取るが、これが実は人間の血を栄養としているエイリアン植物だった。しかも喋るこの植物はどんどんシーモアに血を要求する。成長するにつれて綺麗な花が咲くので、客寄せになると店長は喜ぶが、自分の血だけでは満足してくれなかったオードリー2が手に負えなくなって困るシーモア。そこでひょんなことで人を殺してしまったシーモアは試しにそれをオードリー2に食べさせると大喜び。そこからシーモアの転落人生が始まる…

実は本作はアラジンやリトルマーメイドなどディズニーの黄金期を支え、今や大御所となったアラン・メンケン氏がキャリア初期に音楽制作に携わっており、音楽がとっても良い。日本版は結局見れず、今回が実質初めての観劇だったけど、音楽がとってもキャッチーで耳に残る。ストーリーテラーの役割を担う女学生たちのゴスペル調の曲がかっこいいし、シーモアギークっぷりも良い。なにより、一ホームレスなのに存在感を放ち、そのあとはDVをふるう嫌ぁ~な歯医者役として跡を残すChristian Borleが超かっこいい!あとオードリー2のブルージーな声もいいんだなぁ。大きく育ったオードリー2は小さい舞台だからこそその存在感がえげつないし、改めて小屋は大きすぎないほうがいいと思いました。

 

⑧Moulin Rouge! The Musical

こちらも祝!日本初上演決定!言わずもがな03年の名作(迷作?)映画のブロードウェイミュージカル化作品。初演のクリスチャン役を演じたのは私がこの世で一番推しているミュージカル俳優Aaron Tveitなんです!!!Aaronのヲタクが書いているのでひいき目ですまんが最高。

フランスのカンカンハウスに勤める高級娼婦と、貧乏な音楽家の悲恋ストーリーですが、フォエプラと同じくジュークボックス型のミュージカルで、最新のポップスもふんだんに使われてるからぶっちゃけ版権だけですんげえ高そう(笑)日本版は洋楽使うのかな、邦楽使うのかな。原作の映画の記憶があやふやなまま見返さず舞台見に行っちゃったんだけど、たぶんsilly love songとかyour songとかの古い名曲はそのままに、レディガガやらシーアやらを歌い上げる愉快な皆さんたち。主役たちの歌唱力ももちろんだけど、バックダンサーたちもすごく魅せてくれるから、本当に一つのカンカンショーを見ているみたい。話自体は陳腐なくらいのラブストーリー(しかも一昔前の韓ドラ風味)なんだけど、舞台セットも猥雑な感じできらきらしてるし、合間に挟まれるショーが面白いので、あっという間に見終われます。あとAaronが最高。コロ助でこれも初演が中断されて、3年越しにようやく再演にこぎつけたからね、キャスト陣の喜びもすごく伝わってきた。どれくらいかっていったらAaronがサティーン役の女優さんとプライベートでも恋仲になったくらい…

 

⑨Wicked

言わずもがなの名作!これも場所ネタバレしますが憧れのガーシュウィンシアター(WickedのためのNYのシアター)で見ました!残念ながらキャストはコロナも相まって全員アンダースタディという特殊なシチュエーションだったけど、正直アンダースタディと舐めてたら全然、皆さん実力がすごかったので、最初この日のキャスト発表がされたときはがっかりしたけど、見終わった満足感は全く変わりませんでした。

ちなみに作品自体はそもそも劇団四季verは昔ですが見ました*4。ストーリーはばっちりなので、冒頭からもうすでに目頭が熱い。しかしこう見ると四季の舞台装置の再現力ってすごいんだなぁ。今年20周年でしたっけ。何度も噂が出ては流れた映画化の話も、ようやく本当に本格的に動き出して、来年冬に公開が決まったようだし、ますます今見られてよかったなぁと。アンダーですが、特にグリンダ役の方が素敵だった。大技defying gravityの伸びもばっちりで、大盛り上がりな観劇体験でした。

 

全然見てないと思ったけど、こう振り返るとかなり大金つぎ込んだね!(笑)

でもやっぱりアメリカにいる間じゃないと見られないし、日本ですでに上演済みもしくは上演が決定している作品ももちろんあるけど、ブックオブモルモンとかたぶん今の日本だといろんな意味で上演が難しい題材だろうし、ハミルトンなんて日本語に訳して歌うのが難しいだろうから、少し背伸びしてでも見られてよかった。

あと、ここに書いていないものも結構見ました。映画はもちろん、去年の8月くらいからようやく再開したシルクドソレイユとか、小劇場のアマチュア劇団の作品とか、コンサートとか。合間に少しだけど旅行もはさんでいるので、激務とは書いたけどちゃんとガス抜きはしてるよ!財布は淋しい感じだけど!

そろそろ帰国のタイミングが近いので、時期的にここらへんがいっぱいいっぱいなんだろうけど、まだまだみたい作品はたくさんあるのよ…でもこうやってみると、ツアーがあるたび日本版の上演も結構重なるから、改めて日本は恵まれているなぁと思うばかりです。

まだまだコロ助が猛威を振るって、本当にストレスがたまるくらいにどこにも行けない日々が続くけど、もし、もしも海外旅行がまた再開されたら、ぜひまた事務所の子たちにも本場の舞台を見に来てほしいなぁ(何目線)。そういう意味でもせっかくアメリカに派遣されたトラヴィスの子たちにはいろんなものを吸収して帰ってほしいと切に願うよ。

 

 

 

 

*1:理香子推しではなかったけどフェアリーズは実生ちゃん推しで普通に好きだったのでまだちゃんと受け止め切れていないよ…どうして理香子…

*2:当初はぶーぶー文句言ってごめん。いざ始まってみたらちゃんと平和なアカウントらで良かった。そのままのあなたたちでいて

*3:石丸さんがハリー役はちょいとお年が…と思ったりしたけど、実際見られた方、どうだったのかしら

*4:そしてそれ以来劇団四季のあの母音法が苦手になったという