ブッ壊れたシャワーヘッド

好きなものを、不規則に撒き散らすだけ

この1年ちょいの間の現場総まとめ

Twitterをフォローいただいている方はご存じだと思いますが、現在転勤で短い間アメリカに来ています。あんまり詳しく書いて特定されるのはご勘弁なので時期や場所はふんわりさせてもらいますね。こんなへっぽこがアメリカに飛ばされるなんて人生なにがあるかわからないよね!しかもコロ助流行真っ最中でいろいろ今までと勝手が違うからYO!

ここにいる間に最推しのV6が解散したり、かと思えばトニセン、健ちゃん、オカダのファンクラブがオープンしたり、コロ助で中止になったForever PlaidThe Boy from OZがようやく幕開けになったり、トニセン、坂本くん、長野くんそれぞれの冠番組が始まったり、後輩グループのTravis Japanアメリカに来たり、フェアリーズの理香子がまさかのジャンルでデビューしてたり*1…さすがに現場は行けないけど、ネットの恩恵を受けて番組はリアルタイムで追っかけられるから、もちろん解散ライブとOZとフォエプラ行けなかったのはすんごくすんごく悔しかったけど!だからといってそこまで疎外感を感じる1年ちょっとというわけではなかったかな。しかも最近トニセンも健ちゃんもTwitter始めたもんね。ITすぎょい。ありがてえ。*2おじさんたちがきゃっきゃっしていることで救われる命があります。ありがとうございます。

 

ただわたくし、根っからの現場厨でして。そもそも今回の転勤はかなりの激務+慣れない初海外転勤+職場の人間関係がちょっとアレということで、物理的にも精神的にもボロボロで自然とSNSへの浮上率も低くなりましたが、ご安心を。自分なりにこっちの現場を楽しんでいましたよ。せっかく本場のブロードウェイがあるんだからそりゃ見なきゃ。ということで謎タイミングですがここ1年ちょいで見てきた各種舞台作品の総まとめを勝手にやりたいと思います。お時間ありましたら是非お立ち寄りください。

 

 

 

 

*1:理香子推しではなかったけどフェアリーズは実生ちゃん推しで普通に好きだったのでまだちゃんと受け止め切れていないよ…どうして理香子…

*2:当初はぶーぶー文句言ってごめん。いざ始まってみたらちゃんと平和なアカウントらで良かった。そのままのあなたたちでいて

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スピリット

大好きなアイドルグループが、デビュー26周年という節目に解散することになった。

 

V6をちゃんと好きになってから、かれこれ8年ほどの月日が流れようとしていた。グループが活動した年月の1/3にも満たない新規である。

アイドル、パフォーマンスグループ、バンド、芸人…にわかにいろんなジャンルを練り歩いている身としては、これも今までたくさん経験してきた推し解散の一つにすぎない。それなのに、第一報からこんなに眠れなくて、口内炎が2つもできるくらい落ち込んだのは初めてで、正直自分自身でも心底びっくりしている。

メンバーチェンジなしの25年、それは「永遠」を信じるには十分すぎる長さだったから。こんなにあっけなく、終わりが突然やってくるなんて露にも思わなかった。こちとら、解散発表日となった12日の2日後の日曜に、ヲタク友達とトニフィフコンの鑑賞会する約束してたんだよ?たったの2日で全ての曲の意味合いがこんなにガラッと変わるなんて思わないじゃん!予定通りに鑑賞会は開催したけど*1、どの曲を聴いても後ろに(意味深)がついているみたいで、正直全然集中できなかった。6人は変わらずあんなにもかっこいいのに。

なにより、私事ではあるが、実はこの度仕事の都合で来月から日本を離れる。1年ちょっとで帰ってくる予定なので、本来は少しだけ我慢をして、帰ってきたらまた存分に6人のライブを楽しむ予定だった。それが、もう6人を見る機会がなくなるどころか、海に隔たれて直接お別れすらもできなくなるなんて、先週までの私は夢にも思わなかったわけで。本当にタイミングが悪くて余計それが辛さを増幅させたのかも。誰のせいでもないんだけどね。

 

 

ところで。

解散。解けて、散る。なんて淋しい字面なんだろう。

そもそも私は6人がずっと言い続けていた通り、「誰か1人かけてもそれはV6じゃない」という言葉に500%賛成しているし、1人でも同じ方向を向けなくなったその時は、やはりグループごとなくなるのが一番綺麗な形だろうと、予々思っていた。

でもたまたま開いたメールボックスに入っていた「V6からの大切なお知らせ」というヲタクを縮み上がらせるには十分すぎるメール文から、16時になったと同時に切実な思いで開いた動画で聞いた「解散」って言葉はあまりにもあっけなく現実味がなくて、側から見ていたらこんなに順風満帆でなんの綻びもない6人からどうして解けて・散るっていう言葉が出てきたのか、全く頭で理解ができなかった。真っ白になったし、動画を何回再生しても全然内容が入ってこなかった。

 

そう。所詮私たちは側から彼らを見ることしかできない

私たちの慕う気持ちや言動は彼らに、何かについて考え、動き出すきっかけこそ与えられるかもしれないが、彼らが下した決断に何か口を挟むことも影響を与えることもできないのだ。

そんなこと、とっくにわかりきってたはずなのに。今日はこんなにも悔しいし淋しい。

この選択に至るまで、6人は何度も何度も話し合ったと言った。剛くんがどんな葛藤を抱えて5人に打ち明け、5人はどういう思いでそれを受け止め、6人でどう折り合いをつけてきたかなんて、私たちは分かるわけがない。私たちができることなんて、その結論としての「解散」を聞いて、どんなに嘆いてもわめいても、2021年11月1日をもってV6が解散するという事実を事実として受け止めることしかできないのだ。その話し合いに、当然ながら私たちが参加してああこういうことなんてできるわけがない。

剛くんは事務所を飛び出すまでして、どんなことに挑戦したがっているのだろう。

剛くんが入るからV6に入ったという健くんは今どんな心情なんだろう。

アイドルでありながら俳優道を歩み進める覚悟がようやく近年見えてきたような岡田くんはどう受け止めているのだろう。

発表動画でも最後まであくまでフラットに居続けようとしていた井ノ原くんは、誰よりも長くこの事務所の盛衰を見届けてきたひろしは、「40を迎えた今こそ決断のとき」という言葉を聞いて50までV6として駆け抜けてきた坂本くんは、なにを思うだろう。

ヲタクはなんでもかんでも行間から深読みしがちだけど、私たちはこの6人がくれた言葉以上はしょせん何もわからない。

 

 

 

今の私は、まだ感情がぐちゃぐちゃだ。6人の誰かが過ちを犯して強制的に退場を命じられたわけではなく・喧嘩別れしたわけでもなくて本当に良かったという安堵、前触れなしに解散を突きつけられた困惑、カミセンが・6人が歌って踊るところをもう2度と見られないかもしれないことへの焦燥、動画の真っ直ぐな目をした剛くんへの厚い信頼、去っていく人と残る人の未来への憂慮、心のない外野からの詮索の言葉に対する憤怒、約束されなかった来年への寂寥。

普段は職場と家の往復だけの生活で、そこまで起伏の激しい感情に揺さぶられることもないので、あまりのしんどさに大袈裟でなく昨日までSNSもテレビも見られなかった。

それでも、勇気を振り絞ってこの文章を書いているのは、今現在のこの気持ちを記録したいということもあるが、なによりやっぱり6人が好きだからだ。「好きだった」じゃなくて、今も大好きだし、これからもやっぱり6人が好きだから。

剛くんは動画で、「25年間V6だったことを誇りに持ちたいし、みんなも同じ気持ちでいてほしい」と言った。

誇れるというのは、25年嘘偽りなく全力で本人たちが走り抜けた証拠だし、最後までその誇りが壊れないよう矜持をもって活動し続けてきたからに尽きる。そうやって体を張ってブランドを守り続けてきてくれた6人のファンでいることは私も誇らしいし、感謝しかない。なにより、淋しさとは全く違うベクトルで、なによりまずは私が大好きな6人のこれからの幸せを願わずにはいられないのだ。淋しくて悲しい気持ちと、彼らの未来を応援したい気持ちは、全く矛盾しない。

 

昨日、私は今月予定している引越しの荷造りをしながら、静かな部屋で健くんのラヂオを聞いた。なお、その直前までは20周年コンサートのDVDを流していた。我ながらドMだと思う

アイドルであること、V6のメンバーであることを人一倍背負いすぎる健くんの言葉には本当に胸が痛んだけど、でも彼が言った「ジャニーさんが作ってくれたものを1番綺麗な形で大切な箱にしまえるかもしれない」という言葉は、あの「解けて、散る」という言葉よりずっと私の中に現実味を帯びて、悲しいけど嬉しくもなれた。上でも言った通り、彼らが矜持をもってV6というブランドを守り抜いてくれたから、今私がもっているV6に関する記憶と思い出とコレクションが「トラウマ」になることなく、いつまでも宝物として残ってくれるわけで。それを健くんが言葉にしてくれたことが、本当に誇らしかった。

それはひろしのワインのたとえ話*2にも通ずると思う。

やっぱりV6は一番欲しい言葉を私たちにくれるなぁ~。気負いすぎる健くんを筆頭に、「みんなを悲しませてごめん」と本当に申し訳なさそうにしている6人を案ずる一方で、その言葉に誰よりも安心している自分がいて、すごく嫌になる。

 

「また笑顔で逢うための合言葉、バイバイ」(テレパシー)

「開くのは可能性への扉 姿変えてもなくならないよ誇りは」(クリア)

「歩み続けてきたmy way それぞれのtrain train 次の場所まで」(Full Circle)

なにかを説教臭く長文で滔々と語らずとも、V6はいつも歌でまっすぐに伝えてくれる。

私たちはなんて甘やかされたファンなんだろうか。そして、それに甘えてしまってごめん。まだまだ受け入れきれなくて、ちょっと気を緩めたら涙をこぼしてしまって、本当にごめん。こんなに幸せを願わずにいられないのに、ここからいなくならないでほしくて駄々をこねて、ごめんなさい。

 

ほぼ読み返さずにつらつら書いているので、支離滅裂でほんとごめんなさい。

受け入れるのにはまだまだ時間がかかると思うし、私はなによりもV6が好きだから、「V6の」という肩書がなくなった6人のことを未来の自分は熱量と質量変わらず応援し続けられるのか、正直今のところは全然わからない。

でもこれだけは言いたい。私は自分の人生でV6のことを好きになれて本当によかった。まずはどうぞ最後の1日まで、その気持ちでいさせてくれるように、精いっぱい駆け抜けてください。どこかの海の向こうで、ささやかながら見守っております。

そのあとのことは、まだ誰にもわからないけど。私は今までのたいして長くも激動でもない人生の中で幾多の選択にぶち当たった時、表題のこの曲に何度も何度も励まされたので、今きっと大きな大きな人生の岐路に立っている6人に、そのままそっくりこの曲をお返ししてあげたい。

 

 

 

君が擇び 君が歩んだ

その道を後悔するな

どんな正しい答えよりも

大切なのはスピリット

いつか届く それぞれの未来できっと 笑おう

 

 

 


V6 / スピリット(YouTube Ver.)

 

 

 

 

*1:このご時世なのでリモートでの同時再生です

*2:クルマでグルメ Vol.929

2020/10/10 獣道一直線!!ソワレ@PARCO劇場

まずは地方公演含め全60公演、誰一人欠けずに最後まで完走し無事千秋楽まで迎えられましたこと、誠におめでとうございます!舞台公演がきちんと上演されることの難しさを痛感させられた昨年において、この偉業をちゃんと為せたカンパニーはすごいよ。そして本当に皆さんご無事でよかった。

パンフなどを見ると、やはりこんなご時世なので、稽古終わりはみんな直帰、一度たりとも飲みに行くことができず、実際のところお互いどんな本音を抱えて練習に挑んでいるかわからないからちょっと不安なところもあったとおっしゃる皆様。気持ちはよくわかる。早く事態が収束するといいね。ほんとにね。

 

さて、そもそも総数として今年は舞台の上演作品数も激減しているし、正直都内在住として県外への遠征ができないわけだから、観劇する箱がかなり限定されてくるのはあたり前田のクラッカーなわけなのだけど、それにしても昨年は本当にたくさんパルコ劇場にお世話になったなー!ありがとう!ちなみに新生パルコ劇場は心なしか一層客席が急勾配になってるから見やすくて個人的には好きだよ!ありがとう!(二回目)

 

念願叶ってねずみの三銃士。初結成の時はまだ海外に住んでいたので見れず、前作の万獣こわいは普通に大人気すぎて全然チケットが取れなかったので、今回皮肉にもコロナだからこそチケットを確保できたという経緯があります。予想はしてたけど、やはり地方遠征組や普通に今観劇を自粛している方がいらっしゃる故、このメンバーとのこの内容でまだまだパルコの席が埋まらないというのは、やっぱりちょっとだけ寂しかったですね。それでも、7月に来た時はまだ席に間隔をあけてキャパの半分までしか客入れができていない状態だったので、両隣にお客さんが居たってだけでもすごく嬉しかったけどね。同時に客席内で私語ペラペラしゃべるお客さんは滅びてほしかったね。飛沫飛ばすな。

極力なにも前情報を入れずに見に行ったから、パンフレット読むまでのぶえさんとくんくが初共演なの全然知らなくてびっくりしたよ…マンハッタンラブストーリーに出てませんでした?!って思ったけどあれ猫背椿さんだった…すみません…

 あとこれWOWOWでやるんだっけ?いわゆるオチを知っていると面白さが半減するタイプの舞台なので、これから映像にて見る予定のある人は、見てから読むことをお勧めするよ。私のところに来る人にそういう人がどれくらいいるかわからないけど。

 

 

 

 

 

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2020/11/01 V6 for the 25th anniversary 前夜祭/本編@Johnny's net オンライン

改めましてV625周年おめでとうございました!

去年の今頃は、たしかぼちぼちカウコンの情報が解禁となって、「V625周年イヤー特別メドレー!」みたいな煽り文句に、「来年こそは!来年こそは3年ぶりのライブじゃあ!」とTLのみんなみんなと燃えて盛り上がっていた記憶が、今年こうなるなんて全人類だれも思ってなかったやん????試練の1年だったよね。

たまたま私は私生活で今年の春に首都圏に戻ってきたんだけど、異動が決まった時も「まぁ今はこんな状況だけど、終わったらまたライブも再開するやろし、25周年イヤーに首都圏に戻れるって神様がライブ行けって言ってるようなもんやな~」くらいに思ってたら、やっぱ人生そんな甘くないなって(笑)

 

でもこんな中でも趣向を凝らしてオンライン配信型ライブを決断してくれた6人にはほんと感謝しかないし、まさかこんな!まさかこんな想像の斜め上みたいなすごいライブになるとは思わなくて、見た瞬間の高揚感と、見終わった後の喪失感が凄まじかった…世間的には嵐さんの最終イヤーに隠れちゃった感が否めないけど、それこそ公式Twitterが開設されたし、デビュー日には大きく一面広告も掲載してもらったし、たしかに直接会う機会がなくなって、たぶんアルバムとか、ツアーとか、いろんな計画がなくなってしまった1年でもあったけど、きっと今後も一生忘れられない、記憶に残る1年だったんだろうなぁ。いつか「あの年は大変だったね」って直接笑いあえる未来が来ますように。

 

 

 

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2020/11/07 SLENDERIE RAYO live idealソワレ @サンリオピューロランドエンターテイメントホール

前回のエントリーで「V6の配信ライブよ~円盤化してくれ~」と言ったら翌日くらいの勢いで発売が決定したので、やはり言霊はあるんだと強く思う今日この頃。

 

 

たかすぃの楽曲センスが好きだと言っても、知らない人からはなかなか理解してもらえないことが多い。

それはまるでアイドルというフィルターが演技力とか歌唱力とかへの正当評価を邪魔するのと同様、「芸人」とか「3枚目俳優」というイメージだけが先行してしまっているの一言に尽きるんだけど、遡るはたまたま聞いた『SaらSa』以降かなり一途に藤井さんの曲を追っかけてきた身としてはすごく心外でならない。だって藤井さんのいろんなインタビューで垣間見れる今まで音楽遍歴だけでも絶対好み合うもん!!

そのセンスが徐々に世間に知られ始めたのはDISCOの神様あたりかなと思うけど*1、近年は他アーティストのプロデュース作品でさらにじわじわ認知されたのでは思っていた時期からの、今回のこのアルバム

いや~~~本人たちも言ってたけど、ほんとツアーで回って欲しかったな~~~!!!アトロク*2で初めて川島さんの『where are you』聞いた時なんて、私日比アナとほぼ同じリアクションだったもんな~笑 楽曲のアレンジはもちろんだけど、藤井さんのプロデュースはとにかくこの人のこの一面を見せたい!という芯がぶれない気がしていて、それはその人への理解と愛に満ちていているからこそだと思うの。好き

だから今回music magazineのj-popベストアルバム年間5位に選ばれたのめっちゃうれしい!お世辞抜きにすごくこだわりがあふれる作品だし、今までのものも含めてたかすぃがやりたいことは常にはっきりしてるから、ぜひ聞いたことない人も食わず嫌いせずまずは手に取ってほしいな~。

まぁでもツアーこそなくなってしまったけどこうしてライブを見る機会があるだけでも嬉しかったし、個人的には実に四半世紀ぶりのピューロランドだったので普通に新鮮な気持ちになった。あそこに成人が単身乗り込むの、やっぱり最初ちょっと勇気いるよね。入って3秒で全然そんな気持ちなくなったというか愛しのポチャッコグッズに囲まれて興奮がすごかったけどね。

前置きが長くなりましたが以下ネタバレです。

 

 

 

*1:tofubeatsさんにマジKANSHA

*2:TBSラジオのafter 6 junction

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2020/08/30 ボーイズ・オン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~マチネ(千秋楽)@なかのZERO大ホール

紆余曲折ありましたが、大千秋楽おめでとうございます!!!

途中取りやめざるをえない公演もあったので、キャストの皆さんの中では悔いがもしかしたら残っているかもしれないですが、それでも私は、今のこの世の中、例えばBLMの運動だったり、例えば自粛要請だったり、すべての人のアイデンティティ問題、価値観の多様性と他人への許容・理解・包容がますます問われる時代の流れにおいて、改めてこの作品を上演するのはとても意味があることなのではないかとしみじみと思った次第です。と同時に、見に行くことができてとても良かったです。濃厚接触者通知が来ませんように!!

大千秋楽、安田さんもう喉ガッラガラに枯れてて(笑) 早口のセリフも多いもんだから、ちょっと離れたところで観劇していた私は途中正直ちょっと聞き取りづらい場面もあったりしたんだけど。でもそれくらい皆さん本当に魂削ってここまで来たんだなと、千秋楽しか見ていないのに勝手にジーンときてしまった。そいえば途中地震なんかもあったね。揺れたなーと思ったけど終わってニュース開いたらやっぱ揺れてた。震度大きくなくてなにより。

強いて言うなら途中劇場スタッフの耳打ち声が聞こえてきたところと、懐中電灯なのかわからないけど薄めの反射光が乱反射して気が散ったのが残念だったな。ニューノーマルへの対応で色々戸惑いもあるのだろうけど演出を邪魔しちゃだめよ。

では以下ネタバレあり感想。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ざつーなあらすじ:

ニューヨークの割と良さげなアパートに住むゲイでカトリック信者で心療内科の治療中のマイケル。今日はゲイ仲間ハロルドの誕生日。マイケルの家で同じLGBTQの仲間たちで集まってハロルドのお祝いをする予定で準備を進めていたところ、大学時代の友人でマイケルはカミングアウトをしていないアラン(ストレート)が泣きながら今から会えないかと電話をかけてきた。心配したマイケルはアランをとりあえず家に誘い、集ったゲイ仲間にはなるべくゲイらしく振る舞わないようにお願いする。しかしあからさまにホモフォビアのような態度を示すアランの様子にマイケルたちの感情が徐々に変わってくる。やがてパーティは、酔ったマイケルが強引に始めた「心の交流ゲーム」という、心から愛している人に電話をかけて告白するというゲームの開催により、更に荒れ狂うこととなる。最後はそれぞれ自分の素直な感情に直面して悲喜こもごもとなったり、アランは己の性指向をカミングアウトすると思ったら妻に告白をして去っていったので、それを見たマイケルが後悔の念にかられて泣き叫んだりしてパーティの夜は更けていったと思うよ。

 

 

パーティの一晩のほんの数時間を描いた本作。まずはマイケルのゲイ仲間のみんなのキャラが濃い!今の恋人のドナルド(馬場徹さん)は冷静沈着で、感情の起伏が激しいマイケルをうまく包み込む男性。公立学校の先生ハンク(川久保拓司さん)はとても控えめで愛情深い性格かと思いきや恋人に対しては嫉妬深い一面も。その恋人で同居人のラリー(太田基裕さん)はちょっと斜に構えているところがあり、恋愛に関しては自由主義で浮気症。アフリカ系アメリカンのバーナード(渡部豪太さん、個人的に顔が一番好き)は人当たり優しいけど自身のルーツのこともあってかどこか卑屈的。その親友エモリー浅利陽介さん、個人的に一番好きなキャラ)は元気な毒舌おネエ。そのエモリーがハロルドの誕生日プレゼントとして連れてきたカウボーイの格好をした男娼(富田健太郎さん)。そして、明るいのにどこかシニカルな雰囲気をまとう今回のパーティの主役ハロルド(鈴木浩介さん)。

今回はまさしく密室の会話劇ということでかなりセリフの応酬が激しい本作なんだけど、前半のパーティシーンはとにかくシモネタ含めテンポよく進む進む。きっと彼らの殆どは日常生活では何かしら本当の自分を抑圧して生活しているだろうからこそ、気心の知れる仲間たちが集まるこのパーティを純粋に楽しむ様子が、後にアランが現れたときのヒリついた空気感ととても対照的で。と思いきやある意味空気が読めてないカウボーイちゃんがいい緩衝材となって可愛らしいのなんの。多分若い頃から男娼の仕事について、ある意味世間知らずなところがあるんだろうな。

 

「自分が同性愛者であることを受け入れられないからこそホモフォビアのように振る舞ってしまう」という描写は今でこそいろんな作品に現れているので*1、アランが敏感なまでにエモリーのオネエ言葉に嫌悪感を示した時点で「あこれはもしかして…?」と思ったのだけど、結局最後まで明かされなかったアランの本音はなんだったんだろうね。

個人的には、マイケルが怒りながら暴露していた、大学時代アランがゲイの友人ジャスティンといわゆる恋人のような関係であったことは嘘ではないと思うし、逆にアランも、今回電話口で泣きながらマイケルにどうしても会いたがったのは、自身の性指向のことについて親友に相談というか告白したかったからなのかなと思いました。マイケルはアランの前でずっとストレートを装ってたけど、アランが会場を去り改めて我に返ったマイケルは、今までアランはやっぱりどこかしら自分はゲイであることを見抜いていたこと、それを踏まえて悩みながらも勇気を振り絞って親友として己の中の葛藤を打ち明けようとしていたのにそれを最悪の方法で台無しにしてしまったことを悟って、泣き叫んだんじゃないかな。

パンフレットのキャストインタビューで安田さんは、マイケルのことを「言葉の鎧を纏った人」と言っていました。あたかも最初から自分の同性愛者というアイデンティティを達観しているように見せているけど、でも実際は大学からの親友にすら自分がゲイであることを告白できずにおり、常に何かから逃げるような生活を繰り返しながらニューヨークにたどり着いており、なんならそもそもカトリック(同性愛をsinful、すなわち罪深きものと見なしている宗教)という矛盾を内包する複雑な人物。それは、劇中でハロルドも「あんたは自分のことをごまかしてんのよ」(ニュアンス)と鋭く指摘しているとおりで。自分のアイデンティティを受け入れているようで、誰よりもコンプレックスを感じている人物なんじゃないかしら。

マイケルがアルコールの力に任せてあんなtruth or dareゲームみたいなことをみんなに強要したのは、そんな臆病な自分のことを分かっているからこそそんな自分を許せなかったし、同様に真の感情から隠れようとしているアランや仲間たちにも腹立たしく感じたからじゃないかなと。

 

逆にアランはどうだろう。最後までアランは自分を語るキャラクターではないから真相はわからないけど、あるじゃん?少数一部の人に打ち明けようとした秘密のことで周りいろんな人から炊きつけられたら逆に言えなくなるやつ?アランはあの部屋に踏み込んだ時点では本当に自分の性指向や生活を今一度見直そうと覚悟したんだと思うのよね。じゃなかったらエモリーたちがいうように「すぐに帰ってたはず」だし。そうしなかったのは彼の葛藤。でも告白ゲームでジャスティンにではなく妻に電話したのは彼の諦め。言い換えると彼は今後も己を偽る人生をあの電話の瞬間選んだんだろうなぁと。

マイケルの最後の涙は、後悔と、悔しさと、諦めと、きっといろんな感情が綯交ぜだったと思うし、それら全部ひっくるめてゆっくり母のようにマイケルを抱きしめる恋人のドナルドが本当に優しかった。

 

見終わったとき実はハロルドの「あんたは私のことを一番よくわかるし、私も誰よりもあんたのことを分かってる。そのうえであんたはいつまでも私に勝てないのよ」(ニュアンス)というセリフが理解できなかったのだけど、パンフレットの鈴木さんの安田さん白井さんとの対談で語ってた「ハロルドとマイケルは鏡の裏表」って話でなんかストンと腑に落ちたかな。ユダヤ人でゲイであることがどういうことなのか、舞台『BENT』を知っている方であればよくよくご存知かと思いますが*2、そんなハロルドがあんなに達観しているのは、ある意味彼はもうすでにマイケルが今悩み苦しんでいる段階すらももう経験して乗り越えてきたからなんじゃないかなと。ハロルドは周囲に自分のアイデンティティを伝えているのか作品中はわからないけど、ハロルドはマイケルの行き着く未来で答えなんじゃないかなと私は思いました。

 

例えば真の自分を表現するためにクローゼットを開ける人がいれば、社会的地位や生きやすさのために一生思いをクローゼットにしまい込む人もいて、それはどっちが正しいわけではなく自分のために選択していいように、一つの事象にはいろんな価値観があっていいし、相互理解までいかなくても互いに敬意を払うべきなのに、今も昔も声が大きい人が環境を制圧する傾向があるし、そうやって自由に自分を表現できないマイノリティが生まれてしまう。また、自分が勝手に信じる「正義感」を振りかざして、他人に価値観を強要するのも、今も昔も変わらないし、特に今はこういう特殊な時期なので一層際立つよね。

そんなことをふわふわ考えながら炎天下、駅近くのうどん屋さんまで歩いてうどんすすって帰りましたよ。適当な人間なんでね!

コロナの影響でキスやベッドシーンをなくしたりと、一部演出も変えたという記事を読んでいたし、インタビューでもリハーサル時間が削られて初日までにセリフを叩き込む必要があったなんて話もあったので、色々気苦労はたえなかったとおもいますが、今はとにかく全日程を終えたことに拍手を贈りたいです。安田さん、ついこないだ某ハナタレでくっだらないモリーダーのシモネタで大爆笑していた人と同一人物とは思えない。と思ったけど人生生きづらいエピソードで安定の腹下し話を語ってたのでやっぱり同一人物だった。さすがっす。

ちなみにこの作品、随分昔に映画化されています。『セルロイドクローゼット』で紹介されているのを見て一度は見てみたいと思っていたのになかなか巡り合う機会がなかったんだよね。もっかいDVDレンタル探してみっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:有名な例で言えば『ブロークバックマウンテン』とかかしら

*2:見たことないよって人はぜひ私のブログ読んでね!笑 16/07/20 パルコプロデュース BENTーベントー ソワレ@世田谷パブリックシアター - ブッ壊れたシャワーヘッド

2020/07/27 三谷幸喜のショーガール~告白しちゃいなよyou(social distancing version) ソワレ@パルコ劇場

感染病への万全対策の中、無事完走本当に本当におめでとうございました。

 

この数ヶ月で我々の生活はもちろんですが、エンターテインメントのあり方や、対面式イベントの開催形式も本当にガラッと変わってしまいましたね。仕方ないんだけど、去年のこの頃にこの作品含め、パルコ劇場再オープンの記念作品と銘打った三谷氏の作品情報が解禁された時点では、当然ながらこんな世の中になるなんて思ってもおらず。ただただ前回のショーガールはご縁がなかったので、今回こそは1度は見に行きたいなぁと思っていたそんな矢先。

他の人は分からないけど、私は正直今回は流石に見に行くのを少し躊躇ったよ。3月からほぼほぼ全ての娯楽がストップして、7月上演の作品はいわば先陣切る形になるのに、早速前後で出鼻をくじかれるようなことも発生した訳で*1。悔しいけど、世間の論調は特にエンタメについては「そこで病気を貰ってしまってもそれは自己責任だよ」という雰囲気が漂ってるし。でも私も生活があるし。

色々葛藤はあったけど、同時期上演の同じく三谷氏の『大地』の対策の話を聞いて、やっぱり一演劇ファンとして支援したいという気持ちが勝った、というのが今回観劇の経緯です。あとこれが東京公演で私も今東京にいるというのが大きいかなー。地方在住で病気に罹患した時の噂の立ちかたを想像したら多分、仮に自分が住んでいる地方で公演があってももっと躊躇ってたかも。

とにかくこんな長い前置きを書いておいて私が言いたいのは、この状況下、観客として見に行く選択をするのも見送る選択をするの、逆に主催側としても、リスク回避のために上演を見送る選択をするのも損失補填のために万策を講じて上演する選択をするのも、正解がないからこそどちらも責められるべきではないよ、ということです。早く元通りになって欲しいね。早くV6に会いたいし(唐突)。

 

さて本題!エンタメを応援したいという気持ちと、あとは単純に野次馬精神的にどんな開幕になるのか知りたいという気持ちあって、初日のチケットをもぎ取って行ってまいりました。すごく配慮されてた!

そもそも入場時も手足(靴)消毒と検温を徹底、ロビーの従業員の方も最小限で、義務ではないけどQRコード読み取りによる座席情報登録。席は当然1つずつ開けて座らせるし、上演中もマスク着用。幕間はすぐドアを開けて換気をするし、バルコニーへの一時退場も推奨(もちろん出入り時はまた手足を消毒)。帰宅時も退場規制ありという徹底ぶり。

対策されしは観客側だけではありません。Social distancingと銘打っているとおり、演者側も色んな工夫が施されています。2m以内の接触をほぼ禁止、対面式のやりとりはなし。歌コーナーも演者の間にビニール幕を配置。これで感染したらもうそれば仕方ないよ!防ぎようがないよ!

一応私も開演直前に劇場到着、着席。幕間はオープンスペースでたむろ。退場規制に従いつつ、室外ルートで1階に降りると色々気は遣ってみたけどさ。客席もほぼ静かに開演待ちをしたりと、いつも以上に「みんなで作り上げた」的な一体感を感じたよ~。

では以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オープニング:再オープンしたパルコ劇場でソーシャルディスタンスに戸惑いながらも、距離を保ちながら愛を確認する老カップルの会話による作品導入。

第1幕:ミュージカル「Midnight Stranger」

<あらすじ>女脚本家シルビアは再現ドラマの脚本の締切が迫っているためホテルに缶詰になりPCとにらめっこをしているが、全く良いアイディアが浮かばずイライラ。さらにはホテルの部屋の壁に埋め込まれた水管から変な音がしてきて、気が散ってさらにイライラ。ホテルの担当者に修理を依頼したところ、すぐに修理屋ジェイがやってくるが、「音を聞かずして原因分からず」と、音が鳴るまで部屋で待機することに。最初は脚本家は邪魔だとジェイを追い出そうとするが、ジェイが話術巧みに電話で複数の女性とのデートの日程調整をしているのを聞いて、行き詰まっているラブストーリーの脚本について意見を聞くことに。ジェイは、シルビアが恋愛の真髄を理解していないから脚本を書けないのだと指摘し、もてるための方法を伝授。いろいろすったもんだはあったが、最終的に無事シルビアは締切までに納得のいく脚本を書きあげ、最後の最後で水管がまた音を鳴らしてくれたので、修理工も原因を把握して帰っていったのだった。この夜以降しばらく2人は会うことがなかったが、ある日突然再会を果たすことに。ジェイを憎からず思っていたシルビアは喜びを示すもなぜかそっけないジェイ。しかしそう、それは彼がかつて伝授したもてるための方法「押してダメなら引いてみる、そして女性が好きなのはサプライズ」を実践していただけで、2人は改めて再会を喜び合うのだった。

 

第2幕:ショータイム

1.Sing Sing Sing

2.Cheek to Cheek(『トップハット』)

3.All of Me

4.Calling You(『バグダットカフェ』)

5.Corner of the Sky (『ピピン』)

6.Somewhere Out There(『アメリカ物語』)

7.恋のダイヤル6700

8.メドレー

・It's the Hard-Knock Life(『アニー』、替え歌)

・恋しくて(BEGIN)

・I wanna be Loved By You(マリリン・モンロー

・They Can't Take that Away from Me(『シャルウィーダンス』)

・Who Am I? (『レ・ミゼラブル』)

恋のフーガザ・ピーナッツ

天城越え石川さゆり

・君だけに愛を(ザ・タイガース

・The End of the Universe(『ギャラクシー街道』)

・Walk this Way (エアロスミス

・サッちゃん(童謡、替え歌。二人の日本語名暴露大会)

・You are so beautiful/You are my destiny(ジョーコッカー/ポールアンカ)

・You are my sunshine(ジョニーキャッシュ)

・PS I love you(『フォーザボーイズ』)

・One night Love(『OHダディー』)

Bohemian Rhapsody(Queen)

・Jay's playground

・Just a gigolo/i ain't got nobody(どのバージョンだろ、Louis Primaかな)

・Can't take my eyes off you(フォーシーズンズ)

・La Bamba

・twist & shout(ビートルズ

・Tonight(『ウエストサイドストーリー』)

・Suddenly seymour(『リトルショップオブホラーズ』)

9.もてるための3つの方法(今回オリジナルソング)

10.ショーガールのテーマ~また会う日まで

 

 

トプハ以来またcheektocheekを聞けると思わないやんヲタク????

後半はミュージカル俳優のおふたりに相応しく、ミュージカル作品からの選曲やミュージカルにゆかりのある選曲の数々で素敵だったし、原詞厨としては流石英語が達者なおふたりが元々の英語の歌詞で披露する名曲の数々が本当にただただ耳福だった。

メドレーは結構今回の劇仕様に日本語歌詞で替え歌を挟んでたんだけど、アニーかなんかの曲で「早く欲しいの次世代給付金」って歌ってたのはマジで笑った。世界で1番最初に次世代給付金ってセリフを盛り込んだのはこの作品なのではないだろうか。

あとサッちゃんだけど、「シルビアはね、サエコって言うんだほんとはね」と「川平慈英のパパはキヨシ」ってのがなぜかすんごい耳にこびりついてるんだけどなんで

 

次世代給付金はまぁ小ネタとして。タイトルにもsocial distancingバージョンと銘打っているとおり、演出にもちょこちょこニューノーマルネタが散りばめられていました。特に第1幕。オープニングとか正に見に来ている我々だったけど、例えばノーハグノーキスの話とか。配管工が部屋に入ってきた時も消毒スプレーとマスク完備で、二人が2m圏内に入った途端舞台上でアラームが鳴り響く仕様(笑)配管工が脚本家のPC覗き込む度に潔癖症かってくらい消毒スプレー吹きかけてるのも笑った。ちなみに距離が守られなかった場合はもれなくかめはめ波光線を食らって強制的に距離を作られます(笑)

でもね、第2幕二人でデュエットする時もずっとラップみたいな膜を間に設けて歌うんだけど、最後の最後にジェイさんがそれを突き破ってシルビアさんとハグするのね。なんか、今まで当たり前にできていたことが出来なくなったんだなぁと改めて突きつけられた感じがあって、「よかったね~やっと抱き合えたね~」という気持ちやらなんやら綯い交ぜになってすごく胸が熱くなったなぁ。

なにより、カーテンコールで2人とも挨拶しながら泣き出すんだもん~!今回の舞台は正に全員がNo Theater No Lifeを合言葉にしていた訳だけど、それは演劇を生きがいとしているファンはもちろんのこと、演ずることを生業としている彼らも同じだよね。冒頭私が今回観劇を躊躇った話をしたけど、演者も大きなリスクを背負って万感の思いで今この板の上に立ってるんだなぁと思い、1番グッときてしまった。そもそもジェイさんなんて今年の4月にはフォエーバープラッドで既に再会してたはずなんだもんな。チケット、返金はしたけど本体は捨てられずに残してあるよ。幻の再再演。

 

とまぁ色んな思いが錯綜する中、後で劇場から実は陽性者出ました連絡が来てしまわないかビクビクしながらも、無事幕があがり、そして地方公演を経て最後まで上演されたショーガールと大地。どちらも大千秋楽本当におめでとうございます。今まで以上に感情込めて言えるよ。

当面は100%安心した観劇は望めないだろうし、思うような演出ができずやはり公演自体キャンセルになることも多々あるだろうけど、1つ前例が出来ただけでもそれは大きな一歩だと思うので、心から祝福したいと思います。そしてそれを目撃できて、本当によかったです。

あとはフォエプラとオズがリベンジされればなーーー!!!!!!!!特にオズ、見たいなーーーー!!!!!

 

 

 

 

 

 

*1:例のクラスター舞台、個人的には詳細は分からないので、世間が叩くほど対応が悪かったのか判断しかねるかと思っています。今時点で感染症対応に結局正解は無いわけだし

2020/02/08 FORTUNE マチネ@まつもと市民芸術館主ホール

初めてスマホから更新してみました!

いや、ブルートゥースキーボードを買ってみたんですよ〜この機械音痴の私が。というのもたくさん文字を打つときはやっぱりキーボードでガシガシ打ち込みたい派なのですが、我が家のノーパソちゃん(推定9歳)の立ち上がり速度が例えるならナマケモノのそれなので、ちょっと日常が忙しいとpcを開くことも億劫で…という言い訳でした。スマホキーボードは前から興味があったので、サブpc買うより安上がりだし買ってみる価値があるかなぁと、お試しでね。

今のところ愛着がピークなので、この熱が冷め止まないうちにひとまず書いてみました。もう半年前の舞台だけど!!!でもさっそくPCと比べてエンターキーが小さくてバックスペースキーがデカくて戸惑いがすごい。まぁこれは慣れるしかないな。それを除けばやっぱりフリック入力よりは圧倒的スピードなのでサクサクいける!最初から買っとけば良かった!

 

さてフォーチュン。年が明けて世が徐々に新型コロナウイルスに対して「あれっ、これはどうやら雲行き怪しいぞ…?」となりはじめた頃ですね。本当は東京公演に行きたかったのですが、1月は仕事的にちょっと有給使って遠征することが叶わない見通しだったので、初長野県へプチ旅行してきました。ちなみにこの直後海外旅行もぶち込んでいたので、なかなかハードスケジュールだった思い出。初めて出先からパンフレットを自宅に郵送した笑 

フォーチュンのパンフレット正方形でどの種類の封筒にも入らず、郵便局の方には大変ご迷惑をおかけしました。パルコへ。改善してください笑

 

まだ2月上旬だったので、おかげさまで無事舞台も旅行も滑り込みでいけました。でもご存知、フォーチュン公演は今回北九州の残りあと2公演だったかな?のところで、疫病感染拡大に伴い強制終了してしまいしたね。そこまで楽しみに楽しみに待っていた皆さんのお気持ちを考えると本当にやりきれないし、なにより座長の剛くんはじめ、カンパニーの皆さんが、完走できなかったことで一番悔しい思いをしたのではないかと。あぁほんとコロナが憎い〜6人に会いたいよ~~~(発作)

 

とまぁ言っても仕方ないしキリがないので、以下ネタバレ感想です。余談ですが、わたしは観劇後、まずはチケットノートに手書きでその時の感想を書き残す習慣があるので、ある程度の記憶はあるのですが、それでも6ヶ月以上経ってるので色々おぼろげなのはご容赦願います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑なあらすじ:まさに現代版ファウスト

ロンドンのおしゃれなビルにオフィスを構え、新進気鋭な作品を輩出する若手映画監督フォーチュンを訪ねて、同じく若くて有能な女性プロデューサーのマギーがやってくる。人間不信、ダイエットコーラばかり摂取してろくにご飯も食べてないフォーチュンは、でも素直に意見をぶつけてくるマギーに徐々に心を動かされるようになるが、マギーは幸せな新妻であることを知り、打ちのめされるフォーチュン。

対人不信や父のトラウマに囚われた苦悩、キャリアでそこそこの成功を収めているにもかかわらず好きな女性を手に入れられない焦燥感に駆られたフォーチュンは、とある怪しげな会員制バーで「ルーシー」と自らを名乗る謎の女性に誘われるまま、血の契約を交わしてしまう。それは、なにかを犠牲することを条件に、自身の欲望を叶えられるという契約だった。そう、ルーシーは悪魔だったのだ。

契約を交わしたフォーチュンは確実に何か不思議な力を手に入れたと確信する。マギーを手に入れることを強く望んだら、マギーの夫が突然事故に見舞われ死亡。心が弱り切っていたマギーの信頼を得る形で男女の関係となった2人。次にフォーチュンは、マギーがプロデュースする自分の映画の成功のため華々しく渡米。しかし、自分や作品のことを小馬鹿にするプロデューサーに腹を立てたフォーチュンは、半ば腹いせかのように彼らをヤギに変えたりと力を濫用。

徐々に、フォーチュンのその他者を不幸にしてしまう力への恐怖や、どんどん己の欲望に飲まれていくフォーチュン自身に強い違和感を感じたマギーは、一方的に別れを告げてしまう。自暴自棄となるも契約から逃れられないフォーチュンはやがてさらなる悲劇をもたらし、最後は自分自身をも破滅へと追いやってしまうのだったとさ。

 

 

 

めっちゃわかりやすかった!というか前回の剛くんの舞台「空ばかり見ていた」が私の足りない脳味噌であまりちゃんと理解できなかったというのもあるけど、下地がゲーテの有名な作品というのもあって、ある程度展開を知っているのも大きいかな。

フォーチュンがもし本当にただの嫌な、欲望に塗れた自己中な男だったら、多分全然感情移入もできず、最後も「ざまあ」くらいの心境だったのかもしれないけど、フォーチュン、とてもなんというか可愛くて可哀想で人間くさい且つ同情できるポイントが沢山ある男なんですよ。

例えば母思いなところ。父に憎しみのようなトラウマを抱えているからこそなのか、いつも実家に戻ると、花屋を1人営む母の力仕事を必ず手伝うし、どんなに同僚にへそを曲げてもちゃんと母とは会話をしようとするところはいい息子そのもの。あとは、契約に溺れてからこそ醜い嫉妬心や占有欲を露にしますが、最初の頃はマギーに対してもかなり奥手なんですよね。精一杯の好意の示し方がダイエットコーラを渡すことくらい。そう考えるとフォーチュンって実は精神的にとても幼い人だったのかもしれないな。

でも、そんななんというかひねくれているものの純粋そのものなフォーチュンを前半で存分に見ているからこそ、後半ころげ落ちるように悪事に手を染めていくフォーチュンがもう本当に腹立たしかったしもどかしいのなんの!!しかも軽犯罪から始まるかと思いきやいきなりマギーの優しい旦那さんを死なせるところから始まってるし。そこからずーっとヘビーな展開だから、何か一つ過ちをおかすたんびに私の心の中に住んでいる宮川大輔が「アカーン!!!」と怒鳴ってた。

 

なにより森田剛のあの目の演技ね。人をハナから信じていない怯えたような目付き、どんなに成功を収めても自信を持てていない目付き、幸せそうな新婚生活を語るマギーを見て嫉妬に狂う目付き、悪魔ルーシーに翻弄された時の虚ろな目付き、最後自暴自棄になって警察を殺るときの心ここに在らずのような狂った目付き、そして砂に溺れながら父を思う寂しそうな目付き。その一つ一つにきちんとストーリーがあってどんなセリフよりも引き込まれました。そいえば松本の会場も程よくコンパクトで良かったなぁ。割と前列にいたのですがこれら微細な表情の変化が凄くよく見えた。あの甘い声もそのなんというか、庇護欲をかきたてるよね。バブみ

 

他の登場人物も素晴らしかったのだけど特筆すべきはルーシーこと田畑智子さん。こんなに滑舌良い女優さんだったの?!めちゃめちゃ聞き取りやすかった。多分今まで見てきたどの舞台俳優さんより滑舌が良かった。あとルーシーのあの善悪も性格も本音か嘘かも、なんなら性別すらも読めない独特な空気感がすごく絶妙だった。あんなあっけらかんに明るくハキハキ喋るのにびっくりするくらい信用出来ない人物像、キャラクターを作り上げるのすごく大変だったと思うのにひょうひょうと演じられる田畑さんがとても魅力的でそしてキュートでした。契約書にすぐ目がくらんで飛びつこうとしたフォーチュンを警告する時の鋭い喋り方とか、途中途中、間違いに間違いを塗り重ねてどんどん地獄に転げ落ちていくフォーチュンを心から同情する声とか、でもやっぱりどこか高みの見物のような余裕さをかましている立ち振る舞いとか、光るところが本当に沢山あって、近年見た舞台作品でも1位2位を争う好きなキャラクターになったなぁ、ルーシー。お衣装も全パターンかっこかわいかった。

 

マギーもめちゃくちゃ可愛かったよ~あんなスーツジャケットとジーンズだけで様になるのすごすぎ。私たち観客は彼女にどのような不幸が降り注ぐのかなんとなく予想がついていたので、もうとにかく「早くここから逃げて」状態だったのだけど、なんとなくフォーチュンに最初からちょっとしたシンパシーを感じて、どんなに周りに変なことが起きようと自分なりに信じてフォーチュンに喰らいつこうとするマギーのいじらしさ。彼女はもちろん1番の被害者であるわけだけど、もしかしたら彼女もまた、この不幸の運命に巻き込まれるべくして巻き込まれたのかもしれないなぁと、見ていてぼんやり思いましたとさ。ピュアっと言ったらピュアなんだけど、不幸に愛されてるというか、引き寄せるなにかがあるんだろうね。実際そういう人いるよね。あんな悲惨じゃないけどさ。

 

最後のあの演出、衝撃的でしたね。交番を襲撃してとうとう地獄に突き落とされるフォーチュンは、ずっと望んでいた死を目の前にすると逆に怯えた表情になり、どこか観客にたすけを求める目を向けながら徐々に徐々に、天から降り注ぐ砂に埋もれていくというあの演出。まるで蟻地獄のような負のループにハマるフォーチュンの生き様そのもののようで、強烈に印象に残るラストシーンでした。あんな重たい作品よぉ2ヶ月も演じられるな剛ちゃん、私なら気狂いそう。

 

すごく難解というわけではないストーリーだけど、多分細かく見ていったらいろんな発見がありそうな作品なので、ほんと途中で終わってしまったのは残念だったし、なんならWOWOWかなんかでテレビ放送してほしいし、もっといろんな人に見てほしいと思った、間違いなく剛くんの代表作になりうる作品だと思いました。えっほんとに円盤化しなくていいんですか…?布教用に販売してほしい。TTTシリーズはさておき、演劇作品が最後に円盤化したのってどれだ、拳銃とフライパンか?フォーチュンなんて世界初上演なんだから資料用に絶対撮ってるはずだし円盤化しよ??今からでも???

 

 

 

 

 

 

 

 

2020/01/17 An Evening With Cynthia Erivo 大千秋楽@東京国際フォーラムホールA

三浦春馬くんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

プライベート用PCの不調、自身の異動と引越し、身内の不幸と、ちょっと色々重なり、随分長いあいだブログを更新できてませんでした。申し訳ないです。

皮肉にもこのご時世、ありとあらゆる楽しみを奪われ、やっと7月にまとまった休みが取れるから溜まりに溜まっているレポを更新しようと思った矢先のニュースでした。

こんなにショックを受けるもんなんだと自分自身でも驚いているのですが、考えてみればほぼ同世代で、学生時代同級生と盛り上がっていた作品に立て続けに出ていて、そしてなんなら今年も板の上にいるご本尊を拝見したというのに、情報だけが波のように押し寄せてくるこの状態。正直心が全然ついていけてないです。ワイドショーを見るだけ苦しくてテレビを消す毎日です。

もういないという実感は全くといって湧きませんが、せめて私は1月にこの人のパフォーマンスを見たんだということを思い出したくて書きます。もし読みたくない方がいらっしゃったらもう全然、飛ばしていただければ幸いです。あと、どうか周りの皆さんがご自身を責めず、一日でも早く日常を取り戻しますように。

 

 

 

 

 

 

 

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