ブッ壊れたシャワーヘッド

好きなものを、不規則に撒き散らすだけ

2020/07/27 三谷幸喜のショーガール~告白しちゃいなよyou(social distancing version) ソワレ@パルコ劇場

感染病への万全対策の中、無事完走本当に本当におめでとうございました。

 

この数ヶ月で我々の生活はもちろんですが、エンターテインメントのあり方や、対面式イベントの開催形式も本当にガラッと変わってしまいましたね。仕方ないんだけど、去年のこの頃にこの作品含め、パルコ劇場再オープンの記念作品と銘打った三谷氏の作品情報が解禁された時点では、当然ながらこんな世の中になるなんて思ってもおらず。ただただ前回のショーガールはご縁がなかったので、今回こそは1度は見に行きたいなぁと思っていたそんな矢先。

他の人は分からないけど、私は正直今回は流石に見に行くのを少し躊躇ったよ。3月からほぼほぼ全ての娯楽がストップして、7月上演の作品はいわば先陣切る形になるのに、早速前後で出鼻をくじかれるようなことも発生した訳で*1。悔しいけど、世間の論調は特にエンタメについては「そこで病気を貰ってしまってもそれは自己責任だよ」という雰囲気が漂ってるし。でも私も生活があるし。

色々葛藤はあったけど、同時期上演の同じく三谷氏の『大地』の対策の話を聞いて、やっぱり一演劇ファンとして支援したいという気持ちが勝った、というのが今回観劇の経緯です。あとこれが東京公演で私も今東京にいるというのが大きいかなー。地方在住で病気に罹患した時の噂の立ちかたを想像したら多分、仮に自分が住んでいる地方で公演があってももっと躊躇ってたかも。

とにかくこんな長い前置きを書いておいて私が言いたいのは、この状況下、観客として見に行く選択をするのも見送る選択をするの、逆に主催側としても、リスク回避のために上演を見送る選択をするのも損失補填のために万策を講じて上演する選択をするのも、正解がないからこそどちらも責められるべきではないよ、ということです。早く元通りになって欲しいね。早くV6に会いたいし(唐突)。

 

さて本題!エンタメを応援したいという気持ちと、あとは単純に野次馬精神的にどんな開幕になるのか知りたいという気持ちあって、初日のチケットをもぎ取って行ってまいりました。すごく配慮されてた!

そもそも入場時も手足(靴)消毒と検温を徹底、ロビーの従業員の方も最小限で、義務ではないけどQRコード読み取りによる座席情報登録。席は当然1つずつ開けて座らせるし、上演中もマスク着用。幕間はすぐドアを開けて換気をするし、バルコニーへの一時退場も推奨(もちろん出入り時はまた手足を消毒)。帰宅時も退場規制ありという徹底ぶり。

対策されしは観客側だけではありません。Social distancingと銘打っているとおり、演者側も色んな工夫が施されています。2m以内の接触をほぼ禁止、対面式のやりとりはなし。歌コーナーも演者の間にビニール幕を配置。これで感染したらもうそれば仕方ないよ!防ぎようがないよ!

一応私も開演直前に劇場到着、着席。幕間はオープンスペースでたむろ。退場規制に従いつつ、室外ルートで1階に降りると色々気は遣ってみたけどさ。客席もほぼ静かに開演待ちをしたりと、いつも以上に「みんなで作り上げた」的な一体感を感じたよ~。

では以下ネタバレです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オープニング:再オープンしたパルコ劇場でソーシャルディスタンスに戸惑いながらも、距離を保ちながら愛を確認する老カップルの会話による作品導入。

第1幕:ミュージカル「Midnight Stranger」

<あらすじ>女脚本家シルビアは再現ドラマの脚本の締切が迫っているためホテルに缶詰になりPCとにらめっこをしているが、全く良いアイディアが浮かばずイライラ。さらにはホテルの部屋の壁に埋め込まれた水管から変な音がしてきて、気が散ってさらにイライラ。ホテルの担当者に修理を依頼したところ、すぐに修理屋ジェイがやってくるが、「音を聞かずして原因分からず」と、音が鳴るまで部屋で待機することに。最初は脚本家は邪魔だとジェイを追い出そうとするが、ジェイが話術巧みに電話で複数の女性とのデートの日程調整をしているのを聞いて、行き詰まっているラブストーリーの脚本について意見を聞くことに。ジェイは、シルビアが恋愛の真髄を理解していないから脚本を書けないのだと指摘し、もてるための方法を伝授。いろいろすったもんだはあったが、最終的に無事シルビアは締切までに納得のいく脚本を書きあげ、最後の最後で水管がまた音を鳴らしてくれたので、修理工も原因を把握して帰っていったのだった。この夜以降しばらく2人は会うことがなかったが、ある日突然再会を果たすことに。ジェイを憎からず思っていたシルビアは喜びを示すもなぜかそっけないジェイ。しかしそう、それは彼がかつて伝授したもてるための方法「押してダメなら引いてみる、そして女性が好きなのはサプライズ」を実践していただけで、2人は改めて再会を喜び合うのだった。

 

第2幕:ショータイム

1.Sing Sing Sing

2.Cheek to Cheek(『トップハット』)

3.All of Me

4.Calling You(『バグダットカフェ』)

5.Corner of the Sky (『ピピン』)

6.Somewhere Out There(『アメリカ物語』)

7.恋のダイヤル6700

8.メドレー

・It's the Hard-Knock Life(『アニー』、替え歌)

・恋しくて(BEGIN)

・I wanna be Loved By You(マリリン・モンロー

・They Can't Take that Away from Me(『シャルウィーダンス』)

・Who Am I? (『レ・ミゼラブル』)

恋のフーガザ・ピーナッツ

天城越え石川さゆり

・君だけに愛を(ザ・タイガース

・The End of the Universe(『ギャラクシー街道』)

・Walk this Way (エアロスミス

・サッちゃん(童謡、替え歌。二人の日本語名暴露大会)

・You are so beautiful/You are my destiny(ジョーコッカー/ポールアンカ)

・You are my sunshine(ジョニーキャッシュ)

・PS I love you(『フォーザボーイズ』)

・One night Love(『OHダディー』)

Bohemian Rhapsody(Queen)

・Jay's playground

・Just a gigolo/i ain't got nobody(どのバージョンだろ、Louis Primaかな)

・Can't take my eyes off you(フォーシーズンズ)

・La Bamba

・twist & shout(ビートルズ

・Tonight(『ウエストサイドストーリー』)

・Suddenly seymour(『リトルショップオブホラーズ』)

9.もてるための3つの方法(今回オリジナルソング)

10.ショーガールのテーマ~また会う日まで

 

 

トプハ以来またcheektocheekを聞けると思わないやんヲタク????

後半はミュージカル俳優のおふたりに相応しく、ミュージカル作品からの選曲やミュージカルにゆかりのある選曲の数々で素敵だったし、原詞厨としては流石英語が達者なおふたりが元々の英語の歌詞で披露する名曲の数々が本当にただただ耳福だった。

メドレーは結構今回の劇仕様に日本語歌詞で替え歌を挟んでたんだけど、アニーかなんかの曲で「早く欲しいの次世代給付金」って歌ってたのはマジで笑った。世界で1番最初に次世代給付金ってセリフを盛り込んだのはこの作品なのではないだろうか。

あとサッちゃんだけど、「シルビアはね、サエコって言うんだほんとはね」と「川平慈英のパパはキヨシ」ってのがなぜかすんごい耳にこびりついてるんだけどなんで

 

次世代給付金はまぁ小ネタとして。タイトルにもsocial distancingバージョンと銘打っているとおり、演出にもちょこちょこニューノーマルネタが散りばめられていました。特に第1幕。オープニングとか正に見に来ている我々だったけど、例えばノーハグノーキスの話とか。配管工が部屋に入ってきた時も消毒スプレーとマスク完備で、二人が2m圏内に入った途端舞台上でアラームが鳴り響く仕様(笑)配管工が脚本家のPC覗き込む度に潔癖症かってくらい消毒スプレー吹きかけてるのも笑った。ちなみに距離が守られなかった場合はもれなくかめはめ波光線を食らって強制的に距離を作られます(笑)

でもね、第2幕二人でデュエットする時もずっとラップみたいな膜を間に設けて歌うんだけど、最後の最後にジェイさんがそれを突き破ってシルビアさんとハグするのね。なんか、今まで当たり前にできていたことが出来なくなったんだなぁと改めて突きつけられた感じがあって、「よかったね~やっと抱き合えたね~」という気持ちやらなんやら綯い交ぜになってすごく胸が熱くなったなぁ。

なにより、カーテンコールで2人とも挨拶しながら泣き出すんだもん~!今回の舞台は正に全員がNo Theater No Lifeを合言葉にしていた訳だけど、それは演劇を生きがいとしているファンはもちろんのこと、演ずることを生業としている彼らも同じだよね。冒頭私が今回観劇を躊躇った話をしたけど、演者も大きなリスクを背負って万感の思いで今この板の上に立ってるんだなぁと思い、1番グッときてしまった。そもそもジェイさんなんて今年の4月にはフォエーバープラッドで既に再会してたはずなんだもんな。チケット、返金はしたけど本体は捨てられずに残してあるよ。幻の再再演。

 

とまぁ色んな思いが錯綜する中、後で劇場から実は陽性者出ました連絡が来てしまわないかビクビクしながらも、無事幕があがり、そして地方公演を経て最後まで上演されたショーガールと大地。どちらも大千秋楽本当におめでとうございます。今まで以上に感情込めて言えるよ。

当面は100%安心した観劇は望めないだろうし、思うような演出ができずやはり公演自体キャンセルになることも多々あるだろうけど、1つ前例が出来ただけでもそれは大きな一歩だと思うので、心から祝福したいと思います。そしてそれを目撃できて、本当によかったです。

あとはフォエプラとオズがリベンジされればなーーー!!!!!!!!特にオズ、見たいなーーーー!!!!!

 

 

 

 

 

 

*1:例のクラスター舞台、個人的には詳細は分からないので、世間が叩くほど対応が悪かったのか判断しかねるかと思っています。今時点で感染症対応に結局正解は無いわけだし