ブッ壊れたシャワーヘッド

好きなものを、不規則に撒き散らすだけ

19/05/24 クイーン・エリザベス~輝ける王冠と秘められし愛~ソワレ@日生劇場

もしTTTがストレートプレイとはまた違う括りのものというのであれば、今回とうとう初めて長野くんのストレートプレイを見に行きました。というかほぼほぼ最前列で観劇するというのも、観劇歴そこそこある自分にとって初めてだったので、2回観る予定のうちの一回目が全然全体像が見えない最前列で大丈夫かお前?!って、観る前は心配でたまらなかったんだけど、また違う見え方ができたのでオールオッケーでした(ちょろい)。明らかにマオザベスが主役の場面でめちゃくちゃレスター伯のお尻ガン見してすまんやで。最前列だと目線がどこに向いてるか舞台の役者さんというかひろし本人にバレそうですんごいヒヤヒヤしたけど、それでも抑えきれずニヤケ笑いしながらひろしを見てしまって本当に申し訳ない。

ひろしの演技、オブラートに包むと大地さんや西岡さん、樹里さんのような素晴らしい共演陣に圧倒されてしまうんじゃないかと、制作発表されたときはほんとに心配でならなかったのですが(失礼)。冒頭の若い、まだ伯爵を名乗れていないロバートダドリーこそちょっとぎこちなさがあったけど、後半、特に一度牢屋に入れられたあと、一歩引いたところからなお女王を守りつつ、自身も病魔に侵されている頃のレスター伯はその少女漫画の騎士ポジ的なキャラも相まってすごく良かったと思います。年齢を重ねていることを強調すべく、あえて冒頭若ロバートの喋り方が胡散臭い新興宗教勧誘みたいな感じを出しているんだったら実は計算高いのでは。ポジティブにいこう。

 

ではまずは雑なあらすじから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

適当なあらすじ:エリザベス1世の数奇な人生を辿る物語。生母アンが愛人でエリザベスの実の父であるヘンリー8世に処刑され、謀反の嫌疑を課された娘エリザベスもロンドン塔に幽閉されてしまった。死神の幻像に苛まれつつも、嫌疑が晴れ、腹違いの姉メアリーのような強烈な支配欲を見せることもなく慎ましく生活してたエリザベスだったが、メアリー崩御に伴いついにイングランド女王として即位することとなってしまった。女王即位を覚悟したエリザベスは、父の代より使えるウィリアム・セシルを国務長官に任命。ほかにも従兄弟のヘンリー・ケアリーを警備隊長に、幼馴染で多分恋愛的にも好きぴだったロバート・ダドリーを近衛の長としてレスター伯の爵位を与えるなど、自ら信頼できる人たちを中心に据えるとして政治的手腕を発揮。また、「自分は女王になるとともにイングランドと結婚し、国民を子とする」と、生涯独身を宣言。これが貴族の間では大きな波紋を呼ぶこととなった。政略結婚にエリザベスを使いたかった王族は、まず女王の一番近くにいて女王の一番の親派だったダドリーが目障りだったので、ダドリーの妻が事故で亡くなった際、「妻を殺害、エリザベスと結婚し王位を狙っている」容疑をかけられ、幽閉されてしまう。やむなくダドリーは再婚し、ロバート・デヴァルーの継父となったが、この頃既に病魔に侵され、寿命幾ばくもなかった。とうとう、スペイン艦隊を迎え撃ち大勝利を収めたエリザベスは、しかし最愛のダドリーを失ってしまうのだった。

ダドリーを失うと引換に、その息子デヴァルーに心を慰められる女王。どこかダドリーに似ていつつも、より無鉄砲で自由なデヴァルー。女王には甘やかされ許されているという自負のもと、己の正義のために女王の命なく勝手にスペイン軍討伐やアイルランド戦に行ってしまい、とうとう宮中の不満分子の裏切りにあい、謀反で捕らわれるデヴァルーことエセックス伯。そして、長年仕えたウィリアム・セシルも老衰により引退してしまった。家族、愛する男性、信頼する家臣、それぞれに別れを告げながら、決断を下しながら、エリザベスは真の女王として突き進み続けたのであった。

 

 

 

 

ひろしが演ずるロバート・ダドリーはTHE✩王道少女漫画のイケメンキャラで。

①生い立ちが壮絶

ヘンリー8世時代の廷臣の家に生まれたダドリーは、パッパが息子(ダドリーの弟)の嫁ジェーン・グレイの即位に擁立してしまったことで、ギルフォード、ジェーン夫妻とともにメアリー1世に処刑されてしまう。かろうじて母ちゃんのコネ経由でスペインのフェリペ2世の恩赦をもらい、エリザベス同様ロンドン塔から解放されたので、フェリペの恩返しのためにフランス戦では大活躍したそうな。エリザベスから爵位をもらうまでは割と名無しのゴンベイ扱いだった苦労人。

②先進的な発想をもつエリザべスの一番の理解者

幼馴染ってだけでも最強だけど。ロンドン塔幽閉を経て知識欲がさらに貪欲なエリザベスのためにこっそり天文学の本を買ってあげたり、貴族臣下が皆生涯独身宣言をしたエリザベスを狂ってる扱いする中ヘンリー・ケアリーと「よっしゃあよく言った!」とハイタッチしたり。世襲制を否定し、どんな人にも能力さえあれば平等に国を譲り渡すと宣言したエリザベスを賞賛したり。スペイン戦の最前線に立とうとしたエリザベスを病気で息絶え絶えになりながらも現場に赴き奮い立たしたり。いつでもブレずにエリザベスの肩を持ってくれたイケメン。

③憎めない色男

公私ともにエリザベス大好き!!って感じだけど、まぁまぁ浮名を流したダドリー。出世のためとはいえ地主の娘エミリーと若くして結婚したけど、史実的にはエミリーと子供がいなかったこともあり、その間もいろんな女性の間を歩き渡り、のちに再婚相手となるデヴァルー母ともきっかけはデキ婚。なんならそもそもデヴァルーがだいぶ昔に種付けた実の息子説というのもあるくらい。それでも憎めないのは、あの朗らかかつ爽やかな性格と、美しい容姿のせいなのか。私は「ナースマンがゆく」の若槻さんみたいな役大好物なのでありがたかったです。舞台ではそんな描写ほとんどないけど*1

④女王の近衛の長

やっぱ物理的に強くて守ってくれる男性って魅力的やん??そもそも一番最初の登場シーンが玄関からくるのではなく、エリザベスの身内の目をくぐり抜けバルコニーの窓から颯爽と現れる時点でちょっとドキッとするよね。喋り方は宗教勧誘みたいだったけど*2。ひろし、セリフをきっちりきっちりと言いがちだからさ。でも特に私が好きなシーンが仮面舞踏会でのシーンなんだけど。というかそもそもひろしに仮面を被せたそれだけで演出家さんに10,000,000,000円くらいねじ込みたいんだけど。幽閉・再婚を経て少し女王と距離を取っていたダドリーが、それでもずっと身辺調査をして謀反の噂を嗅ぎつけ、仮面舞踏会に紛れ込み女王を襲おうとした暴徒を押さえつけるシーンはほんと騎士のようにかっこよかった。

⑤病気で死ぬ

少女漫画的男子、重篤で死にがちやん?(暴論) というか戦闘シーン直後に吐血→エリザベスに知られたくなくて血を病気の事実を健気にも隠す→でもやっぱり仕女ベスに見られててバレる→自分の死を見越して息子を護身役として差し出す→死に際になおエリザベスの仕事を見届けるって…なんて完璧な流れ…死してなお、エリザベスが迷ったとき、苦しんだ時、最初に思い浮かべる人として現れ、彼女を励ますダドリーは、後光が差してることもあってか聖母に見えたよ…美しいな…

 

ということで、一人イケメン要素が大渋滞しているレスター伯ですが、1列目で見てるとなにがすごいかというとケツと横顔の鼻筋がほんとね、堪能し放題なのが贅沢。冒頭バルコニーに現れて己に気づかず賛美歌を歌うエリザベスの後ろでその歌声にうっとりしているダドリーちゃん、腕組んで窓枠にもたれながら目を閉じてる顔が、良い。横顔向かれると途端にあの高い高い鼻筋が強調されて、彫刻のごとくでした。

女王即位に伴い、自分の臣下を任命するシーンでは、嬉しそうに新女王に愛想を振舞うおじさんたちの一歩外で、見物でもするかのようにドアの近くでニヤニヤしてるダドリーちゃんもいたずらっ子みたいな顔してて良いんですよ。「(みんなと違って伯爵位があるわけでもなくただただ友人枠みたいなノリで近衛隊長に選ばれた)俺のことでしょ?」ってドヤ顔するところも、鼻筋から「ムッ」と突き出した唇のラインまでが大変美しかったです。

なにより!!!前述の仮面舞踏会!!!目元だけを隠す仮面で強調されるお顔の美しさはもちろんのこと、コートを脱いで背中の2/3くらいしか面積がないマントをひらひらさせながら現れるダドリーの腰の細さとお尻のムチムチ感といったら!私が座っていた位置ではちょうど、暴徒を押さえつけたときにお尻が向けられるので、遠慮なく見ました。良かったです(作文)。なんなら最後息子デヴァルーに支えられながらも戦場で倒れこむシーンでも、1回目見たときはほんとケツにしか集中できなくて…いいおしりだったなぁ…

とまぁビジュアルの話ばっかりしちゃいましたが、特に壮年~晩年にかけてのダドリーは人生経験やいろんなあきらめを経てもっと成熟した大人になっていて、でもちゃんと病気ゆえの儚さも纏っててかっこよかったです。若ダドリーは声のトーン高めで膨大なセリフをまくし立てる血気溢れる若者だったこともあり、元気な勧誘マンに見えなくもなかったんですが、貴族の醜い争いに巻き込まれ妻殺害の容疑をかけられたとき、憲兵に大声で怒鳴りつけるシーン。仮面舞踏会で暴徒に対し制裁の言葉をかける凄みのあるシーン。ひろしの怒るシーンは総じてとてもエネルギッシュでギャップが良かったなぁ。

 

なにより、言うまでもなく周りの皆さんの表現がすごい。マオザベスは言うまでもなく、表情や声のトーン一つで純粋無垢な少女エリザベスから、責任とともに大きな悲しみをまとった女王エリザベスまでを見事に演じ分けでおり、トーンや話すスピードだけで貫禄を表現していたのがすごく印象的で。特にシリアスなシーンのあと、死んだダドリーの幻を見るときの表情は、一瞬で少女時代に戻ったかのような爛漫さを表していて、ついぞ女王をそんな表情にさせられなかったエセックス伯が可哀想でした。

高木くんも頑張ってたなー!セリフの言い回しは、少し力が入りすぎていたのか、鼻にかかった少し癖強めな喋り方だったけど、若さゆえの自己顕示欲と自信と血気に満ち溢れ、見境もなく突っ走る若者感を体現していて、だからこそ最後捕らわれるシーンは、自業自得なんだけど胸が痛くなりました。インタビューで「(継子ではなく、実はダドリーの本当に血のつながった息子だったという説もあるので)レスター伯と少しシンクロするところがあるように意識してみました」と言ってたので、そこも注意しながら見てましたが、私的には女王の肩を抱く仕草、お辞儀の仕方とかが似てるかなぁと。パンフでは髪をかきあげる仕草ってあったけど、ひろしウィッグだったからか、大して髪の毛触るシーンがなかったからなぁ…あ、悪天候の日に突然エリザベスの家に現れて鏡の前でめっちゃ髪の毛イジイジするシーンはあったよ!あれはでも、小指で前髪微調整するいつものひろしだった。

あと、雑誌とかでも結構披露されてたけどロバ耳つけて踊って女王のご機嫌をとるエセックス伯はやっぱさすがアイドル、可愛かった。羨ましい。ダドリーもやってええんやでエセックスとエリザベスによると、ダドリーも幼いころからダンスと歌が得意で、自分で劇団を立ち上げて見世物をやったりもしていたと。見せてよ

 

 

カーテンコールは3回くらいあったけど、最後幕が降りる直前で弱弱と控えめに胸よりやや低めの位置で両手を振るひろしが、少し萌え袖になってて可愛かったなぁ。私はなんでもかんでもスタオベするのは気が引けるタイプだから、1列目ですごく居づらさを感じながらも座って拍手してたら、多分小林大介さんだったかなぁ、ウィンクしながらこっそり手を振ってくれて、すごく嬉しかったなぁ。スタンディングこそしてないけど、本当に心から賛辞を送ってたんですよ。重厚な歴史劇だったけどストーリーはわかりやすくて、キャラクターそれぞれがとても魅力的な劇でした。長野くんがこんな感情的な役をやるのもすごく新鮮だったから。もっといろんな役をやってほしい…脇役でいいから…悪役やろう悪役…

 

 

 

 

 

 

*1:「いま婦人が身ごもってる子供はお前のなんだろ?お前みたいな色男がお盛んなことくらいはたいへん結構なのだが」的なセリフくらいでしか触れられてない

*2:どうしても気になったらしい