ブッ壊れたシャワーヘッド

好きなものを、不規則に撒き散らすだけ

18/12/29 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」ソワレ@東京国際フォーラム ホールC

初・福田組ミュージカル鑑賞!好みはそれぞれだと思うけど、面白さは年末笑い納めにぴったりでしたよ!

あっきーこと中川くんの本格コメディもこれが見るのが初めてだったけど、彼やっぱり真面目だよね。もともと今回の役ニックも、劇の中ではどちらかというと巻き込まれる系主人公で、本人自体がすごい面白いキャラというわけではないんだけど、いかんせん相手が西川さんで相棒がさとしさんなもんだから、余計生真面目さがにじみ出ていました。かわいい!セリフはアドリブ多めで随所に福田色を感じさせられる演出だったのだけど、幕間あんなにしゃべってくれるのね!休憩は一緒に見に行った友達と、トイレに行かずパンフ読みながら座ってたんだけど、西川さんもといシェークスピアの場内アナウンスがおもしろすぎるから全然パンフレット読み終われなかった。

ミュージカル好きな人だったら面白いネタがたくさん散りばめられているし、そうじゃなくても全然楽しい舞台なので、これは気軽におすすめできるなぁと思いました。まぁもう公演終わってるんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑なあらすじ:時はルネサンス時代のイギリス。劇作家ニックは弟ナイジェルと劇団を立ち上げたものの、なかなか売れる劇が書けない。劇団員時代の同期で同じく劇作家シェイクスピアは一方でどの公演も激売れしており、お客さんをごっそりもってかれてしまう。スポンサーからも愛想を尽かされギリギリに追い詰められたニックは現状を打破すべく、預言者ノストラダムスに将来どんな劇が流行るか見てもらうことにした。

ノストラダムスはたしかに予知能力を持っているが、どうも頼りなく、「歌って踊る劇が流行ると思う」「その名は『オムレット』!」というあやふやな予言をしちゃったもんだから、ニックは早速弟ナイジェルに卵焼きに関するミュージカルを書かせることとなる。しかし、劇作家として才能をもつナイジェルは卵焼きに関する舞台なぞばかばかしくて描きたくない。もっと自身から溢れ出るインスピレーションを元に別の舞台を描きたいと喧嘩。そこに、次の舞台のアイディアをハンティングしているシェイクスピアがつけ込み、巧みな言葉に乗せてナイジェルが持っているアイディアノートを盗もうとする。

結果、ニックはとても中途半端なオムレット(なんかハムレットオペラ座の怪人その他もろもろがミックスされた作品)を上映。劇評もさながら、シェイクスピアの悪巧みで兄弟共々裁判にかけられ、斬首刑を宣告される。危機一髪のところで裁判官のふりをしていたニックの妻が機転を利かし、斬首刑ではなく一家アメリカへ島流しとなり、アメリカという新天地でニックは本当にミュージカルという新しいジャンルの劇を始めることとなった。そしてシェイクスピアも、オムレットからインスピレーションをもらった「ハムレット」でさらに人気劇作家への道を歩むこととなったのだった。

 

 

 

 

しばらく見ないうちにwikipediaの日本語ページがかなり充実していたので是非そちらを読んでください(笑)

ja.wikipedia.orgとにかくありとあらゆるシェークスピア作品と有名ミュージカル作品が全てごっちゃまぜになってパロディとされているこの作品。

まずそもそものストーリーのアウトラインは『アラジン』(困っている男性をランプの妖精ならぬ預言者のおっさんが助けてくれたりくれなかったり)、『ロミオ&ジュリエット』(才能ありつつ売れない劇作家ナイジェルと、劇文化のような「低俗」な趣味に猛烈に反対しているピューリタンを父にもつ女性ポーシャとの許されない恋)、『ヴェニスの商人』(ニックに高利貸での支援話を持ちかけるユダヤ人の商人「シャイロック」が出てきたり、最後の裁判ではニックの妻ビーが男装し裁判官に扮し知恵で夫の危機を救う)などがまぜこぜになってるし。

それを彩る楽曲に至っては歌詞からメロディラインまで、ありとあらゆる有名どころのミュージカルナンバーをもじってるわけで。

多分全部は全然拾いきれてないんだけど、それでもちょっとだけでもそういう知識がある人はきっとクスッとしてしまうものばかりで面白かった。

たとえ元ネタが分からなくても、そこは福田演出。「中の人」にまつわるいろんなアドリブちっくなネタ*1が散りばめられてて。例えばノストラダムス役の橋本さとしさんが、ちょいちょいIHIステージアラウンドでの演劇の体力的な意味での大変さを嘆いてたり、シェイクスピア役のTMRが生脚魅惑のマーメイドも真っ青なセクシーな格好で女性にモテモテだったり。

トニセン出演のミュージカル作品のいろんな事情を知っている身からすれば、「海外作品の輸入演出するのにこんな自由でだいじょーぶ?訴えられないか?!」と終始ヒヤヒヤしてみてましたが、本作はもともとそういう作風だからOKもらってるんですかね?

 

中川アッキーは流石の一言。まずは歌がうめぇ。中川くんって歌い方が真面目って印象なんだけど、今回はニックのあの融通効かない感じとうまくマッチしていて、人物像がすんなり入ってきたし、奥さんのお金勝手に使っちゃうところとか頑固で劇団員振り回すところとか弟の言うこと全然聞かないところとか憎たらしいところもたくさんあるんだけど、どこか人間臭くて憎めない。だから比較的感情移入しやすかったです。さとしさんのアドリブちっくな台詞回しに振り回されてふと我に返りながらタジタジになってるのも可愛かった(笑)

橋本さんもおいしい役だよね。ノストラダムス、とにかくテキトーで陽気でテキトーなおじさんなんだけど、それなりにニックの行く末を案じてくれてるし、おっちょこちょいなりに色々手伝ってあげようと自身の予言能力を駆使してくれてると。彼が1幕で歌う「A Musical」はトニー賞のパフォーマンスでも披露された一番有名な楽曲なんだけど、ラインダンス踊ったりキャッツのように歩き回るさとっさんが見れるのはいいぞぉ。誰より本人が楽しそうでなにより。

それにやはり西川さん。もう歌の上手さは言うまでもないですが、谷間は披露するわ、股間は強調されるわ。なによりもう包み隠さず「しょ~うしゅ~うり~き~」を歌ったあとにぼそっと「なんでシェークスピア役だって出演したのに消○力を歌わされてるんだ」と言ってる姿がかわいそうかわいい。劇的な立ち位置で言えばシェークスピアは今回はカリスマって呼ばれてるけどどちらかというとちょっと胡散臭いし、なにより自分の作品インスピレーションのためにはニックやナイジェル相手に様々な悪事を働かすということで、悪役っぽいんだけど*2、その意地悪さは腹黒いというよりはちょっと悪知恵働く小学生みたいな感じなので、かわいいんですよね。特に西川さん本人も身長がゲホゲホだから、ニックの劇団に潜入捜査するときに子役に扮するところとか笑ってしまう。多分心くん意識してる。*3

 

いかんせん本人ネタや、福田作品を一度でも見たことがあるなら思い当たるであろうアドリブセリフがいたるところに散りばめられているので、人によっては興ざめじゃないけど現実に戻される感じはあるかもしれないし、私も正直それで気が散る部分があったけど、歌!!ダンス!!笑い笑い笑い!時々演劇豆知識!と、エンタメ要素満載な一作となってるので、年末にはぴったりでした。一緒に行った友達は生粋の劇団四季ファンなんだけど、やっぱり爆笑してくれたから、広く楽しめるんじゃないかと。カウコン行ったけど、2018年の観劇納めは平和な感じで。まぁ2017年の観劇納めが剛くんの「すべての四月のために」だったからさ。

健くんの羅生門も剛くんの空ばかりも溜まってきたので早く書かねば。ひろしのQEも坂本くんのOMSも始まってまうし。この調子だったらあれか、今年下半期はライブツアー期待していいやつかい?

 

 

 

 

 

 

*1:多分実際本当にアドリブの部分もある、はず

*2:実際史実でもシェークスピアは、オリジナル作家というよりは、「編集や脚色に長けたカリスマ劇作家兼経営者」って感じだし

*3:ブック○フのCM、私は好きやで