ブッ壊れたシャワーヘッド

好きなものを、不規則に撒き散らすだけ

18/11/17 ミュージカル「TOP HAT」 ソワレ@東急シアターオーブ

久々に興奮するレベルによかったよ~!

今日本のミュージカル界でクラシカルミュージカルをこんなにおしゃれにこなせる中堅俳優さんはまーくんさんしかいないと本当に思う。燕尾服、こんなに似合う人います?!普段のドラマやストレートプレイだとどうしても少し「too much」に見える大きな芝居も、これくらいの舞台幅だったらぴったりだし、体の使い方がうまい故、女性をリードするようなダンスシーンでも身のこなし方がスマート。なにより、本当に歌がうまい。一秒でも心配させるような場面がなくて、安心してストーリーの本筋に集中できるし、一つ一つの場面で感情がストンと伝わってくるから、なんの不自然さも感じさせないという。多部ちゃんに申し訳ないんだけど、今回は多部ちゃん自身も記者会見で言っていたとおり、不慣れな故歌の歌いだしで結構「せーの!」で歌いだすところが随所あったからこそ、坂本くんの自然さがより際立ったかも。ところで坂本くんってやっぱり亀戸が生んだアメリカのスターですよね?!

とはいえ多部ちゃんも本当に素敵だった。歌にせよ舞台での表現力にせよ、今まで他の多部ちゃんの舞台作品で十分目の当たりにしてたけど、今回タップやワルツも初挑戦でしょ?全然そんな風に見えなかったし、プライドが高くいじらしく、でも乙女でかわいいデイルがちゃんとそこにいた。坂本くんが出ていない場面は、本当にデイルに釘付け。途中あえて少し色っぽい服を着て坂本くんことジェリーを誘惑するシーンがあるんだけど、もちろん色っぽいんだけど、節々に詰めの甘さが故のキュートさがあふれていて、客席に気まずさを感じさせずコメディ感をしっかり出せていたの、やっぱり多部ちゃん自身がかわいいからだと思うんだよなぁ。あれは確かに私がジェリーでも惚れてまう…多部ちゃんデイルはおっちょこちょいさが増してて可愛かったぞぉ~

 

と、私の舞台レポにしてはかなり珍しく冒頭から垂れ流してしまったのですが、それくらいキャストそれぞれのレベルが高かった今回の作品。こういう作品にご指名で坂本くんが呼んでもらえてるのもめちゃくちゃファンとしてうれしいし、これを機にもっといろんな人にクラシカルミュージカル俳優坂本くんが見つかってほしい。あとこれは何百回も言うけど、坂本くんがRENTに出るまで死ねないから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑なあらすじ:

1930年代。ブロードウェイの大スタージェリー・トラヴァースは、友人で英国の舞台プロデューサーホレスに大金で招かれ、初めて英国のショーを主演することに。目玉役者としてショー開幕までお忍びでホレスが準備したホテルに到着したジェリーは喜びのあまりタップダンスを部屋でしてしまい、それが下の階に泊まる女性、デイル・トレモントの怒りを買うことに。ホテルに苦情電話を入れたあと怒りが収まらないデイルはついに部屋にあがってきてジェリーに忠告しますが、それを見たジェリーはデイルに一目ぼれ。そのあともホテル滞在中の短い間、ジェリーは少々強引とはいえ自身の自慢の歌声とダンスでデイルと心を通わせたが、肝心の名前を名乗る機会を失っているとデイルはひょんなことからジェリーを、自身の友人マッジの旦那であるホレスと勘違い。怒った彼女は腹いせにマッジに誘われ訪れたイタリア・ヴェニスで自分の衣装を担当するドレスデザイナーアルベルトと結婚してしまうが、最後誤解が解け、無事ジェリーとデイルは結ばれるのだった。

 

 

 

シンプルだね!!とってもわかりやすいすれ違いラブコメ

いかんせん元ネタは1935年の映画なので、登場人物の描かれ方はだいぶステレオティピカルなんだけど、シンプルで笑えるし、悪者らしい悪者が一人も登場しないから、気楽に見られる!まずジェリーって冷静に考えればめっちゃトンデモ設定で、いくらブロードウェイで売れている俳優だからといって、お呼ばれされて集客がかなりかかっている重要な舞台でも前日までガンガンウイスキー飲んじゃうし、ショーの当日も朝から一目ぼれした女性おっかけて知らない公園に来ちゃうし、リハもギリギリまでいかないし、なんなら出番がある2幕が始まる10分前まで電話してるし、出番直前まで惚れた女のこと気にしちゃうし、翌週もショーがあるのに女追っかけるために週末にプライベートジェット飛ばしてヴェニスまで行っちゃうし。それでもこんなにみんなに愛されるのは、やっぱりひとえにジェリー自身が持っているチャーミングな魅力なんだろうなぁと。実際本当に根っから明るいしね。プロデューサーのホレスがぶつくさ言いながらもなんだかんだジェリーの要求を聞いてあげるところがもはや甲斐甲斐しくて泣ける(笑)

デイルもめちゃんこかわいい。最初こそ自我を持った強い女性ということで現れ、ジェリーの甘い言葉にもなびかず、そもそも自身もドレスモデルとして社交界で一定の地位を得ているにもかかわらず、公園でキスまでした男の名前すら聞かず自分で勝手に勘違いしちゃうおっちょこちょいなところがあるという。惚れた男が友人の旦那だなんて!と憤慨の挙句長年のビジネスパートナーと一夜で結婚までもっていっちゃう行動力の高さを見せたかと思いきや、ジェリー相手には常にいろいろ考えてしまって揺れてしまうという乙女チックなところもあって、とにかく憎めない。そして顔が小さい(重要)。

 

他のキャラクターもとっても魅力的で。屋良くん演じるアルベルト、絶対みんな大好きなやつなんだけど、初見はファッションセンス抜群のラテン系ゲイだと思ってたから、普通にデイルとの結婚即答しててびっくりした。実際、恋人としてデイルを好きというよりは、一ビジネスパートナーとして自分が作るドレスを着こなしてくれる妹のようなデイルが心配、といったところで、結婚もデイルとの恋愛関係重視というよりは、今後も長きにわたって自分のドレスの広告塔としていてほしいという意味合いが強いような気が。とにかく一番の当て馬にして、一番の面白ポイントであって、それを屋良くんはまた器用に演じ切ってたなぁ。あんな独特な訛りのある演技大変だったろうに。ガウンに着替えるシーンでスーツを脱いだアルベルトがガーターソックスを見せたとたん、私含めいろんなお客さんが一斉に双眼鏡構えたのは本当に笑った。いいよねガーターソックス、ガーターソックスいいよね。まーくんさんはガーターソックス履いてましたか。履いたところを見せてくれませんか。どこにお願いすれば見せてもらえますか。

 

あと、出てきたらみんなワクワクする執事ベイツ。皮肉屋でちょっと読めないところがある男なんだけど、なんだかんだホレスたちに忠実で、いいひと。ホレスの指示に従い、ヴェニスまでおっかけていろんな格好に変装しながらデイルを尾行するのですが、特に貴婦人姿は見事なまでのBBAで笑う。全然関係ないんだけど私これにて浅野さんの女性役見るの3回目なんだけどどゆこと(笑)*1

ホレス、マッジ夫妻も素敵で。ホレスなんて特に不憫な役回りで、大金叩いてイギリスにまで呼び寄せたスターはリハにもろくに来てくれなくて走り回ってトラブルを巻き起こすわ、それによって自分がデイルに浮気してしかもプロポーズしたとアルベルトに勘違いされてぼこぼこにされるわ、執事のベイツはあんまり言う事聞いてくれないわ、妻にもぼこぼこにされるわ、挙句はジェリーたちを海まで追っかけたらエンジンを執事に切られてたから漁師に助けられ魚と一緒に転がされるわで、一番の苦労人なのですが、それでも優しさ故になんだかんだ周りを許しちゃうから憎めない人。最後のマッジと言い合いになりつつやっぱり元サヤで夫婦ラブラブなの、すごくほほえましい。益岡さんかわいかったなぁ。ちょっとだけセリフ噛んでたところも可愛かったよ!

なにより、アンサンブルも本当に素晴らしかった。特に女性陣。あんな高速タップダンスやるだけでもすごくエネルギーが必要だと思うのに、場面切り替わってメイド姿になって出てくるときも満面のはじける笑顔でステップ一歩一歩も力強くて。ヴェニスの海辺でのコーラスのシーンとかオケの音も相まってすごく壮大で素敵でした。周りがまずちゃんと安定してるからこそメインキャラクターの主軸のストーリーに入れるよなぁ。いやぁほんと素晴らしかった。生オケってのもいいよね。

 

今回シアターオーブには初めて入ったわけなのだけど、奥行きがすごくあるから2階3階席はだいぶとおくなっちゃうけど、でもさすがミュージカルをメインでやる箱だけあって、オケの響きはよかったなぁ。オケピ後ろなんだね。

 

贔屓目抜きでも、坂本くんはあのアステアのしなやかさをすごくよく表現できていたし、なにより自己主張激しい歌い方では決してなく、きちんとヒロインを、相手役を引き立てるような歌い方踊り方に徹していたので、それが紳士さを際立たせてて最of高にかっこよかったぁ。女性の前でスマートに余裕たっぷりにふるまう様子は「ザ・大人の男性」って感じで色気たっぷりだったし、でもいきったデイルに押されてタジタジになってる眉毛ハの字の様子もとてもかわいい。あと足が長い。絶対2mくらいあった。多部ちゃんの顔って本当に女優さんの中でも屈指の小ささを誇ると勝手に思ってるんだけど、それに負けないくらい小さい顔を持つ坂本くんはやっぱりアイドルだった。豆つぶのような顔に2mの足でタップを華麗に踏み続ける47歳。強い

 

MfT、君が人生の時ときて、これが坂本くん単独の舞台の仕事(ワンマンスタンディンのぞいた)を見るのが3本目なんだけど、やっぱりこの人は舞台の上で輝くんだなぁと改めて思ったのでした。体が動けるうちにはどんどんいろんな舞台に挑戦してほしいし、仮にもう東宝舞台とは無縁だとしても*2ホリプロミュもあるし!!ブロードウェイだって30代の役者が高校生役やったりするわけだから*3、坂本くんだってまだまだRENTやる機会あるから!東宝にたぶん今後出られないことは一生呪うけど、チャンスはたくさんあるから!お願い出て!(何度でも言うよ)

今回多部ちゃんつながりでいろんな演劇業界の人がこの舞台を見に来てくれたのすごくいいことだと思ってるから、坂本くんがもっといろんな人に見つかってほしい。余談だけどone man standing第二弾も待ってるから、地方公演も視野に入れてぜひやってください。金なら出すから

 まずは昨今のTVでのミュージカルブームに合わせて、坂本くんにももっとTVでミュージカルナンバー歌う機会をください。なにとぞ、なにとぞ。

 

 

 

 

 

 

 

*1:1回目は三谷幸喜の「ベッジ・パードン」、2回目はハイバイの「て」

*2:諸事情によるよねー

*3:去年のTONY賞受賞作「Dear Evan Hansen」の2代目主役とかね