ブッ壊れたシャワーヘッド

好きなものを、不規則に撒き散らすだけ

16/06/02 オフブロードウェーミュージカルMurder for Two ソワレ@世田谷パブリックシアター

三宅の健くん、37歳誕生日おめでとうございました!!!にこ健が愛に満ち溢れてて胸がいっぱいになりました。祝ってるのはこっちの方だったはずなのに...!今年一年も素敵な一年になりますように!あと滝沢歌舞伎の円盤、首を長くしてお待ちしております。

 

 

どうも、先日のエントリーで「サスペンダー」という言葉がど~~~しても思い出せなくて、さんざん考えた末にググール先輩の検索欄に「ズボン ベルトじゃなくて」と打ち込んだらまさかまさかちゃんとサスペンダーと出てきたので非常に驚きました、にわかあめです。さすがggr先輩。というか年々語彙力というか日本語が退化してきてる自覚があるんだが大丈夫か私。本もっと読もうね。

 

さてマーダー!

FC名義のは全落ちしてしまいましたが、一般で運良く立ち見席が取れたのでしごおわで行ってきました!行けて本当によかった!!!

思えば2月、OMSの初日公演で坂本くんが「近々なんかいい報告ができれば」と言葉を濁したなぁでも楽しみだなぁRENTやりたいって言ってたからRENTとかやるのかなぁと思った矢先、次の日の正午にMfTの仕事の話が公になった時のあの衝撃といったら未だに忘れられません。当時私は前日一緒にOMS初日見に行った他県から東京にお越しのフォロワさんとめっちゃ都内のドーナツ買いに行ってたのですが、ニュース見て二人で「報告はえーよ!」と突っ込みつつも驚きのあまり危うくスマホを落としそうになった記憶が。

たしかにOn The Townは見ましたが、あの時坂本くんもといゲイビーは役柄的に正直出番やセリフもそんなになかったし、2015年はグループ活動のみ、そのあとはOMSだったので、多分頭から最後まで主役として出演して演技してる作品を見るのはこれが初めてだったかもしれないです。前知識がいかんせん『少年時代』と『鍵のかかった部屋』と『ほ魔女』でのあのテレビサイズに収まってない演技だったので*1、正直漠然とした不安を抱えながらの観劇だったのですが(坂本くんまじごめん)、声を大にして言いたい。

最高か!

噂はかねがね聞いてたけど、坂本くんってあんなに板の上だと生き生きしてるというかのびのびとしてるのかっていうのを改めて目の当たりにすることができました。今回多くの役柄を演じ分けるということでどう表現するのかなと思ってたのですが、小道具や声色はもちろん、表情一つ動き一つでさらっと人物転換を行っていてなにも違和感なく楽しむことができました。むしろなぜあの軽やかさはテレビでは表現できないのか

ストーリーの好みとかはさておき、一表現者としてこの作品の坂本くんはすごく魅力的だったし、ぜひこの作品の坂本くんをいろんな人に見てもらって「ね!うちの坂本くんすごいでしょ!」って自慢したいなぁと観ながら思いました。というか再演までいかなくてもいいからCDとか出しません?今回実は歌に関してもV6のライブパフォーマンスすべて込みで私が今まで聞いてきた坂本くんの生歌ナンバーワンに値するピッチの正確さと調子の良さだったので、そういう意味でも満足度がとても高い観劇経験になりました。もちろんピアノも!去年片手弾きのきらきら星もドキドキハラハラさせる指さばきだったのに本当によく短期間であんな仕上げてきたね...プロってすごい...

 

では、以下拙いネタバレなのでたたみます。なお英語でですがオリジナルの脚本はネット販売されているようなので、もし英語チャレンジしてみてもいいよって方はぜひそっちも購入されてみると、どんな話なのかは多少つかみやすくなるかもです。ちなみにストーリーが飛び飛びなのと私の記憶もおぼろげなのでいつものことですが色々間違ってるかもです。あしからず。

 

 

 

 

 

 

 

 

身も蓋もないあらすじ:

アメリカのとある田舎町のとある住宅。そこの住人である著名小説家アーサー・ホイットニーの誕生日を祝うべく、彼の妻であるダーリア・ホイットニー主催でサプライズパーティが企画されていた。誕生日当日、家に招かれた近所の夫婦や精神科医・姪っ子らがダーリアの指揮下、照明を消した暗い部屋の中に隠れアーサーが入ってくるのを待っていた。その時、突然暗闇の中で銃声が響く。照明をつけると、そこにはアーサーの銃殺死体があったのだ。

当該殺人事件の依頼を受けた警察署長は、捜査を担当する刑事が遠方から現場に到着するまで地元の巡査マーカスとその同僚ルーに殺人現場にいる容疑者を監視し逃さないようにと命じる。しかし、あわよくば昇進を夢見るマーカスは容疑者たちからの誤解も相まって、刑事を偽り勝手にマニュアルの教えを頼りに自分で事件を調査し、本物の刑事が到着する前に事件を解決させ自分の手柄にしようと企てる。

最初は取り調べの方法も分からず、加えて大学院生で刑事学を学びやたら事件解決に介入してこようとする被害者の姪っ子で被疑者のひとりでもあるステフ・ホイットニーの邪魔もあり、なかなか捜査がうまくいかないマーカス。しかし、各被疑者の話を聞いたり、また彼らに自分の過去の話を打ち明けたりする中で、彼は真相にたどり着く。それは、実は犯人はほかでもなく自分の同僚ルーだったのだ。ルーはアーサーに自分のことを小説の登場人物として書いてもらえなかったことを逆恨みし、殺してしまったのだ。

結果、マーカスは本当に刑事が到着する前に事件を解決し手柄を立ててしまった。また、その中で芽生えた感情を認めてステフを仕事そして生活のパートナーとして公私共に従えることを誓ったのだった。

 

 

 

雑な登場人物紹介:

松尾貴史篇】

①マーカス・モスコウィッツ

地元警察の巡査。「マニュアル通りに事件捜査を進めるやつを昇進推薦させる」という署長の言葉を信じてひたすらマニュアルに忠実になって、権限もないのに先に事件捜査を行おうとしたり、それを署長にアピールするためにわざと署長に電話しその状態で胸ポッケに携帯をしまってあたかも不注意で電話がつながりっぱになってたように偽ってみたり(なお署長は結局会議で電話に出ず失敗)と、なかなか姑息な一面も。

一方で冷静で流されないという側面もあり、基本的に劇の中では坂本さんのツッコミ役。特に容疑者の中には自分が好意を寄せるバレーダンサーバレッタさんもいたのですが最後までその色気に負けずにきちんと捜査手順を踏むよう努力していたり、ステフの推理にも流されないように心がけていました。

長らくプライベートだけでなく仕事でもパートナーがいなかったのには、昔付き合っていた女性ヴァネッサがバラバラ殺人を犯し首をつって死ぬという裏切りを受けたことが理由となっていたのですが、美人な女性には普通に惹かれていたり、あとはストーリーの終盤で明らかになるのですがYシャツの下にはスクービードゥー*2がプリントされてあるTシャツをおまじないかのように着込んであったりと、恐らくトラウマにはなってるけど内心パートナーは欲しがっていたのではないかと。事実、最終的には推しの強いステフに負けたという形で彼女の魅力を認め、無事パートナーとして結ばれるのでした。

 

 

坂本昌行篇】

①ダーリア・ホイットニー(女)

特徴:丸めがね、ちょっぴり猫背、鼻の穴がコンプレックス(笑)、歌が下手っぴ、話すのが好きだし割とおばあちゃんのような声。

 

殺された小説家アーサー・ホイットニーの妻で事件現場の邸宅の主でもあり、容疑者のひとりであり、全体のストーリーテラーっぽい存在でもある。今回のサプライズパーティの主催者。

若い頃は劇団に所属していたのですが、当時プロデューサーを担当していたアーサーにコンプレックスの鼻の穴を含め外見を一目惚れされたことを機に結婚。しかし結婚後は劇団をやめて家庭に入ることを強いられたことを不満に思っていたことを知り、それが殺害動機になるのではないかとマーカスに疑われる(でも違った)。事件では夫が殺されたことよりもアイスクリームが誰かに盗み食いされたことを気にしたり、やたら紅茶を勧めてきてマーカスがコーヒー飲みたいというと舌打ちまでしたり、「今回のバースデーパーティで久々に練習した」という歌とダンスを事件現場でなりふり構わずマーカスに披露しようとしたりと、なかなかクレイジーなおばさん。マーカスが女性への身体検査を躊躇していたときなんか自ら進んでスカートをめくろうとかなりノリノリである(笑)

とにかくおしゃべりが大好きでよくマーカスの言葉にかぶってこようとしたり、他の人物の取り調べに割って入ろうとしてきたりしました。こんな自由人なのに、どこか憎めない。そんな奥様でした。

 

 

②故アーサー・ホイットニー(死体)

特徴:...死体(笑)

小説家でこの度銃殺された被害者当本人。小説はかなり人気で国を代表する小説家なのだが、嫌われているのかバースデーパーティを開いても集まるのは親戚や近所のほんのひとにぎりの人数のみ。というのも、彼が書く小説はもっぱら周囲にいる人たち、特に後述の精神科医ドクター・グリフの患者たちを題材にしておりかなり多くの人を怒らせているというのだ。今回パーティに呼ばれた人たちも皆題材にされた人たちばかりだそうで、だからみんな動機がゼロとはみなすことができず疑わしかったという。遺作は『そんなバナナみたいな馬鹿な凶器』。

基本的に坂本さんがピアノと遺体の場所を行ったり来たりせわしなくしてましたが、途中ピアノに専念するためにお客さんに上がってもらって死体役を変わってもらうというシーンも。ちなみに死体役の方、坂本さんに呼ばれてあがるのでてっきり坂本さんとなにか一緒にできるのかと思いきや、舞台にあげたとたん坂本さんはピアノへ直行し、お客さんはマーカスもといキッチュに肩を抱かれます。なんだこれ(笑)

 

 

③マレー&バーブ・ブランドン

特徴:夫婦、ニコイチセット、仲良し(笑)

ホイットニー氏の近所に住む中年夫婦で、ドクター・グリフの患者でもあります。旦那さんは特にアーサーが自分たちのことを勝手に小説に書くことを快く思っておらず、口も悪いのでかなり罵ったりしてます。夫婦はいつも喧嘩ばかりで、延々と「お前が犯人なんじゃないか」と言い合って毎回ドクター・グリフやダーリアが仲裁に入ります。

しかし、仲が悪いのかといったらそうでもなさそうで、なんだかんだ喧嘩から仲直りしたらすーぐに抱きついて人の目憚らずイチャイチャどころかおっぱじめます(笑) もう旦那さんなんか奥さんに抱きついたらすぐに手を股間とかお尻とかあちこちに...(笑)*3なおマーカスが速攻止めに入りました。ちなみに嫁さんの方も旦那のことを「粗チン!!」と罵ったりします*4

 

 

④ドクター・グリフ(男)

特徴:ガニ股、ダミ声、おっさん口調、右手にはタバコ?葉巻?

アーサーの知人の精神科医。のちのち判明するがアーサーが書いてる小説のネタの提供者がほぼほぼこの人。だから登場人物がみんなグリフの患者だったということ。冒頭からガニ股で登場し、かなりがなり立てるのですごく横暴な人かと思いきや、蓋を開ければちょっと寂しがり屋のかわいいおじちゃん。なお、マーカスのことを無二の親友扱いします(※ほぼ初対面)。本当の犯人を知っていると申したその直後、飲んでいた紅茶が毒に盛られていたらしく第二の犠牲者になります。

死ぬ前にマーカスと友情の歌を歌いながら踊り回るドクターは可愛かったです。

 

 

⑤ステフ・ホイットニー(女)

特徴:脇閉めて両手が常に腕と90度で外向き。女子力全開。癖なのかよく髪の毛を両耳にかける。しかもクロスの法則とかも。語尾全部に♡マークついてるんじゃないかってくらいきゃぴきゃぴした喋り方。いまどきのJDって感じ。

 

ホイットニー夫婦の姪っ子。院生で犯罪学の勉強をしており、なんでも卒論では「田舎で発生した殺人事件の解決法」について書いているらしいのだがどこまで本当かはわからない。ただ、とにかく事件に人一倍好奇心を示しており、時折推理という名のマーカスの邪魔をして最初はマーカスに呆れられる。自分も一応居合わせていた容疑者なのに、ほかの容疑者を取り調べしている時に勝手に割って入ってきたりとなかなか強気な女の子でもある。でも、時にはヒントめいた発言をしてくれて最終的にはマーカスのいい相談相手になっていた。中盤でステフが事件担当者である以上に一人の男性としてマーカスに思いを秘めていることが判明するが、事件解決後マーカスも彼女への思いを認め結ばれることに。

とにかく乙女で明るい女の子。こないだラジオで坂本さんが「少女漫画な感じで、鏡の前でも練習した。舞台だと可愛く見えるかもしれないけど現実でこんな女性いたら嫌われそう(笑)」*5と話してましたが、正にそんな感じでした。しかしファンの中でのステフ人気すごかったですね~。衣装はずっとYシャツベストにズボンだったのに余裕で女性に見えた。

 

 

⑥バレット・ルイス(女)

特徴:品のある感じ。常にバレエの姿勢。ツンとしたクール美人。割と伏し目がち。あまり表情に変化がない。妖艶。

 

あしながおじさんの身体的特徴が思い存分生かされたキャラクターバレット。有名なバレリーナとのことでしたがだからといって24時間つま先立ちで歩いてるのおもしろすぎる...(笑) マーカスも知っているようで最初の方はかなり下からへりくだって接していました。バレットさん、凛としていてあたかも全然その事件に関係なくたまたま居合わせた感じを醸し出していましたが、色々聞いているうちに実はアーサーと愛人関係だったことが判明。しかも以前もお付きあいしていた男性たちを数名死に追いやったことがある過去を明かし、今回も自分とアーサーの愛人関係が世間にバレてしまうのを恐れアーサーの創作ノートを隠してしまったというかなりデンジャラスなお方。なお、ダーリアさんは今まで全然二人のその関係を知らなかったそうでかなり激おこプンプン丸。

ちなみにバレットにマーカスが取り調べしようとするたびちょいちょいステフちゃんの邪魔が入ったのですがやはり嫉妬だったんですかね?(笑)

 

 

⑦ティミー、ヨンカーズ、スキッド(少年たち)

特徴:幼い、立て膝歩き、野球帽。ティミーはやんちゃ、元気、甲高い声、野球帽は普通のかぶり方。ヨンカーズはシャイ、ちょっと女の子っぽい声と仕草、野球帽は逆のかぶり方。スキッドはおませ、クール、低音ヴォイス、野球帽は深くかぶって表情がほとんど見えない感じ。

 

近所に住んでてたまたま犯行現場に居合わせた少年合唱団の三少年団員。なぜか語尾は「だいん」。なんでも三人は近所であったいろんな「見るにも耐え難い恐ろしいこと」を沢山この目で見てきたから、今更犯行現場に来ても怖くもないし、むしろマーカスに「助けが欲しかったら口笛を吹いて呼んでくれたらすぐ来る」と頼もしい様子。三人とも恐らく推定年齢10歳前後ということで、坂本くんもそれに合わせて膝をたててステージ上を歩き回ったりそのままピアノを弾いたりと大忙し。3人とも非常に愛くるしいのですが、個人的にはヨンカーズが本当に大好きで大好きで。正にヨンカーズロス。なんでも、まずは一番子供らしかったこと、口調が女の子チックで可愛かったこと、そして最後、口笛を鳴らしてとマーカスに告げたとき「こんなふうにね!」とタコ口を突き出してマーカスにあわやキスしちゃいそうになってるおませなところがもう本当に可愛かったんですよ!!!!マウスtoマウス寸前でマーカスに止められますけどね(笑)

ちなみに3少年、ドクターグリフが殺されたときこそマーカスに帰されてしまいますが、最後ルーが犯人だとわかってルーが逃走しようとしたところを口笛一つで助けにして確保してくれるという大役をこなします(なおその様子はマーカスとステフによる口頭実況のみ)。あと夫人のアイスを盗んだのはこの三人でした(笑)

結構くるくる入れ替わり立ち代りするのに、帽子のかぶり方一つで簡単に演じ分ける坂本さんが本当にすごかった...

 

 

⑧ヘンリー・ヴィヴァルディ(男)

特徴:出番が少ない、東北なまり、色々がさつ。

 

街の消防士さんらしいが、前半なぜかずっとトイレにこもっていたらしく話もだいぶ後半になってようやく登場。いきなり出てきたかと思ったらしゃべるととんでもなく東北訛りで、出番が多くない割にはかなり強烈なキャラクター。さすがに訛り指導の人がいなかったのかな?おいたんの訛りがあまり上手じゃなかったのも気になりました(笑) あとは手で遺体の上のハエを叩き殺したりと、色々とがさつ。というかトイレから出てきたら刑事さんやら死体やらいるのにやたら冷静だったのもちょっと面白かったです。

あと、だいぶマーカスに絡みます(笑) というか、友人だったというアーサーが死んだから歌いたいと執拗にピアノを弾きたがるのを何回もマーカスに止められ、それを機にヘンリーはマーカスにあちこち触ったりキスしようとしたり(笑) でもおそらくトイレにずっとこもっていたということと、あと唯一ドクター・グリフの患者ではなかったということもあってか、さっさと帰ってしまいました。

ヘンリーと絡んでる時のマーカスが笑っちゃうあまりちょっと素っぽかったのも笑えました。

 

 

⑨ヴァネッサ(女)

特徴:声はキッチュ、仕草は坂本さん。ミュージカルCHICAGOのロキシーばりの悪女っぷり。でもとってもセクシー。飄々としてるクールな女性。

 

マーカス巡査の昔の恋人。とてもセクシーな女性で、魔性の女的な美しさと危うさを持ってます。人を殺してもケロッとしていて、警察署長による取り調べでもどこかひょうひょうとしてる。なぜマーカスと付き合ってたんだろ(笑) 最後は首をつって死ぬのですが、彼女が持っていたトランクから(マネキンだけど)バラバラ死体の手首足首が出てきた時はちょっとびっくりしました。

ちなみに彼女、もう死んでいる過去の人間ということでキッチュの声に合わせて坂本さんが動き、そして全体的に赤いライトで「思い出」として区切ってあるのですが、とにかく坂本さんの色気がすごい。全ての人間を見下したような流し目で客席をじろりと見る様子にドキッとしました。

 

 

【特に誰も演じてないけど会話の節々で存在した人物】

①警察署長

主にマーカスの話に出てくる。恐らく堅物の人物。マーカスの昇進がかかってるのと、マーカスのトラウマであるヴァネッサを取り調べした本人。

 

②ルー

マーカスとのやりとりや、ステフとのやりとりで出てくるマーカスの同僚の巡査。冒頭からかなり多くの奇行が見られたが、それは全てアーサー・ホイットニーの目を引くためだった。なぜなら、彼はドクター・グリフの精神科に通っているもかかわらず、他の患者のようにアーサーの小説に書いてもらえずにいたからだ。アーサーに自分も小説に取り込んで欲しいと思って様々な奇行に走ったが結局かなわずアーサー殺害に至った本案件加害者張本人。最後はマーカスらと対峙したあげく逃げようとしたが、マーカスの口笛を聞いて駆けつけた少年合唱団の三人組に取り押さえられ逮捕。でも途中でステフの恋バナ相談に乗ってあげたりといい一面もある様子。

 

 

 

以上が全ての登場人物です!!

松尾さん一役に対して(声は2、3役やってるけど)、坂本さんのこの仕事っぷりですよ!13役くらいはあるんじゃないでしょうか。とにかくめまぐるしく会話の節々で人物が代わり性格がかわりととっても大変なのですが、坂本さん、本当に一人ひとりの登場人物が憑依したかのように上手に演じ分けておりました。東北弁除いて何一つ違和感感じなかったし、特に女性役に関してアニメ的な誇張があるとはいえあんなに個性豊かに演じていたのはすごかったです。しかしあれだな、坂本さん本当に手足長いな...女性役のときバービー人形さんみたいに手首を90度外に向けてぴんと突き出して腰を少し曲げて立ってる様子ではなおさらあのおてての大きさが強調されて「うぉぉ...おいたん腕長い...て大きい」ってなった(不自由な日本語)。

 

 

まぁ人物紹介やあらすじのところの私の支離滅裂な文章からもお分かりかと思いますが、正直話の全体像はあまりちゃんと見えてないところがあります。上演開始前の雑誌インタビュー等で坂本さんが「今回のこの話はたしかにミステリーだけどどちらかというとストーリーやからくりというより、人物の落語のようなテンポの会話、あと我々のピアノ演奏と合わせた歌とかを楽しんで欲しい。自分でも脚本読んでてあまり深く考えちゃいけないなと思った」的なことを色々おっしゃってましたが、まさにそんな感じでした。

なんなら一回しか見てないから余計わからなかったってこともあるかもしれないけど、見終わってスッキリしないところが多々あるんですよ。例えば、

 

・なぜあの狭いコミュニティで、登場人物がみな街の人間だってすぐさま判断できるくらいお互い知ってる関係なのにみんなマーカスがただ巡査であることを知らなかったのか。

・小説の邦題「そんなバナナみたいな馬鹿な凶器」はどういうことを意味してるのか。

・なぜ登場人物はヘンリーを除いて皆精神科医の患者だったのか。

・なぜみんなアーサーを憎んでいるのにあえてバースデーパーティに参加したのか。

・なぜホイットニー夫人は旦那が死んだことに対してあんなにケロッとしてるのか。

・ステフも。おじさんが死んだのに。

・そもそもこれら登場人物は本当に存在してるのだろうか。それともマーカスの想像にすぎないとかそういうことではないのだろうか。

・ヴァネッサとマーカスの関係性。

 

などなどなどなど。

ヲタクはついついなんでも行間読んだり深読みしたがる癖があるから許して欲しい。

あともう一つ個人的には苦手だったのはたまに中の人が出てくる、という演出。具体的には途中で何度がマーカスの携帯が鳴ったのだけど(正解はいずれも署長からの電話)、鳴り響いた途端に「坂本昌行」が出てきて客席に向かって「上演中は携帯の電源OFFでしょ!」と説教するメタっぽい演出。毎回罰ゲームに関する内容はアドリブというか演出ごとに異なるみたいですが*6、個人的にはこういう中の人が出てくるタイプのメタ発言はあまり得意ではないので比較的冷めた目で見てたかなぁと。おじさん二人のやりとりは可愛かったけどね!

 

ただこれだけは言える: これは密室ミステリーと見せかけたただのラブストーリーだから!ステフ(44歳のおじさん)とマーカス(56歳のおじさん)の愛と勇気の物語だから!!皆さんがステフロスになるのも、最終的にはあの片思いし続けるステフにある程度感情移入しちゃうからなんでしょうね。コイスルオトメ

 

いやしかし、前半何百回も書きましたが本当に坂本さんの表現の幅の広さには驚かされました。多分期待値があまり高くなかったってのもあったかもしれないけど(大変失礼)、「こんなに引き出しがあるんだ」という率直な感想。多分本人も演じてて楽しかったんでしょうかね、レポ見るとアドリブが日に日に過激さを増して来てる気が(笑) 私が見たときもステフが最後にマーカスのほっぺにキスするのですが、冷静に考えてみたら40代半ばのおっさんが50代のおっさんにキスするってすごい絵面なはずなのに、見てるときは本当にステフがマーカスにちゅーしてるように見えたから不思議。

今回私は上手側の立ち見席で見ていたので、ピアノを弾く手元は見れなかったのですが、その分一層表情や動きに着目して見れたかなと思います。というか、あんなに舞台の端から端まで走り回り、しかもキャラクターによって声色を変えたりするのに、声の伸びは最高で、ピッチも今までにないくらい精確で感動しました。私の以前のレポを読まれたことのある方はご存知かと思いますが、個人的には坂本くん下から声をエグって出す癖があると感じていて、「あ~ピッチがちょっと低い~」と感じてしまう場面が多々あったんです。それはミュージカルでもコンサートでも。でも今回は全くそんな感じがせず、むしろ声量も迫力が増していてびっくり。坂本くん、本当に歌が上手いんだな...すげえ...特に最後のダーリア夫人によるジャズの大曲は音痴ダーリアの役柄の特徴を捉えつつもきちんとスウィングを歌い上げてて、面白い以上に感動で鳥肌立ちました。

歌といえば、キッチュが歌ってるってのも新鮮だったなぁ。今回MfT出演がきっかけで初めてキッチュが実はもう1年前くらいからmy fair ladyとかのミュージカルにちょこちょこ出演してるってのを知ったのですが、私の中のキッチュの印象といえばニッキーズ・パビリオンとか、G2さんとのAGAPE storeとかのイメージが強いから、開演早々「ほえ~松尾さんが歌ってる~」ってなった。でもお上手でしたよ。当たり前だけど声量はミュージカル俳優と比べると劣るかもだけど、ひょうひょうとした独特な歌い方で、すごく耳に残る感じ。というか、私は今でもたまにぼーっとしてると松尾さんが歌う『マニュアルは語る』のサビが脳内でこだまして辛い(笑) この曲と、少年団が歌う『もっとさらにヤバイん』の中毒性がヤバイん(笑)

 

ピアノも圧巻だった。あれは2015年、伏線かのように「ピアノを始めた」と言ってた料理おじさんが初めてone dishの下北沢の骨董品屋さんできらきら星を地上波初披露したとき。五本指のあまりのピーンとしてる様にこっちも子供の発表会見守るお母さんみたいな気持ちになったのを覚えています。OMSでも弾いてたけどあれも和音だけだったからね。

なのに!今回は普通に楽曲をがっつり弾いてるし、なんなら連弾を披露し、弾きながら歌うという芸当もやってのけてるから本当にすごい。たしかに曲数はいうほど多くないんですよ。リプライズも多いし、テーマ曲は何回も繰り返されるから。でももっと難しいのは役者二人が交互にピアノを変わるからどのタイミングでなめらかに演奏を続けるか、どう入って雰囲気を変えるかってところなのかなぁとピアノ経験者は思いました。まず今回の舞台ってすごく変わってて、開演前の暗転なしでまずは二人が拍手の中登場して役者として挨拶するんですよね。でもその後二人並んでピアノの前に座って連弾を始めるとそれが切り替えのスイッチになってストーリーが始まるって展開がスタイリッシュだったので好きでした。

しかし、指って慣れれば慣れるほど動くし、単純に両手を動かすって脳にもいい刺激になると思うから坂本くんにはぜひこれからもピアノ弾き続けてて欲しい~そして披露してくれ~。

 

 

とりとめないレポになりましたが、ある意味埒があかないオープンエンディングだからこそいろんな解釈があっていいと思うし、これら想像の余地を与える意味深な歌詞と豊かなキャラクター像があって納得の素敵な作品でした。OMSのレポでも触れたけど坂本くん従来の作品って古き良きクラシカルブロードウェイ作品に多く出てるイメージが強かったから、今回こういう変化球的な作品に出会えて本当によかったなぁと。たしか坂本くんいつかおかまとかじゃなくて女性の役をやりたいって言ってたと思うから、それも今回の作品で実現したし。また次のまーくんさんミュージカル略してマージカル作品、大変楽しみにしています。それまではまず坂本くん、ゆっくり休んでください!お疲れ様でした!!

 

 

 

余談:年末にブロードウェイで新たにオーディションやったメンツが日本でRENT20周年の公演をやるんですが坂本さんは行きますか?私は行きます。

 

 

 

 

*1:一度坂本さん担の人にこれら映像作品の感想聞いてみたいMA・JI・DE

*2:アメリカの国民的ミステリーアニメScooby-Dooの主人公の犬(グレートデン)のキャラクター。臆病な飼い主シャギーたちが毎回巻き込まれる事件について解決のヒントを探してくれたり推理の手助けをしてくれたりと毎度何かと事件解決の糸口を提供してくれる

*3:一人二役ですよ奥さん。一人二役。客席に背中を向けた坂本くんが自分の手を背中とかお尻とか股間に這わせてアンアン言ってるのめっちゃエロいし面白かった

*4:何度でもいいますが一人二y

*5:2016.7.2ネクジェネ

*6:ちなみに私が入った回は「バスで下北沢とせたパブ往復」でした